インターネットという名の公共の場で人を傷つけるということ【5】

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

これまで数回にわたって、インターネットの、とくにSNS上のトラブルについて例を挙げてお話してきました。ここ十数年で急速に発達したインターネットに、国や教育、わたしたち自身の意識、そういったものはいまいち間に合っていません。
数回の記事を書くにあたって、改めてわたしも実感しました。

なによりも、間に合っていないことの自覚が薄いことが大きな問題です。わたしなんかは、まさにZ世代と呼ばれる若者ですから、学生のころからインターネットやSNSは当たり前でした。インターネット特有の暗黙の了解や、ネットモラル、マナーは自然と身についていると思っていました。
それでも、まだまだ足りないところがたくさんあると再確認しました。

しかし、足りないままではいけません。いくら「最近」とはいえ、現在主に利用されているSNSはサービスを開始してとっくに十数年は経っています。SNSの黎明期は2004年頃ですから、20年前ですよ。もうそんなに最近の話でもないんですよね。わたしも時間の流れにびっくりです。
その20年のうちに、そのSNSアプリケーションは何回アップデートされたのでしょう。わたしたちの意識は、何回アップデートされたのでしょうか。

考え方が変わるのは当たり前のことです。ものごとの変化は、人の意識からなるものです。
実際にSociety5.0が目指され、DXが進み、わたしたちの意識も含めた「デジタル化」が進んでいます。
日本の歴史2000年と比べれば、まだまだ子供なインターネット空間ですが、少しずつ2000の先に融合しています。デジタル化、さらにはインターネット化は、まさに今が黎明期と言えます。

さて本日は、これまでのまとめとして、インターネット世界黎明期に生きるわたしたちにできることのお話です。


あなたを守る法律

インターネットに限らないことではありますが、わたしたちは被害を受けた際に泣き寝入りしてしまうことが多々あります。
SNSにはブロックという機能があり、見たくないものを見ないようにすることが容易です。このブロック機能による炎上というのも、たびたび見られますよね。

以前お話ししたように、炎上を鎮めるには素直に謝罪し理解することがもっとも効果的ですから、それがないままブロックすると「逃げた」と言われがちです。
炎上の原因も様々ですから、一概には言えませんが、謂れのない噂で炎上してしまった場合、あるいは一方的な誹謗中傷を受けた場合、見ないようにして過ぎ去るのを待つしかありません。
そういった時には、見たくないものは見ないようにミュートやブロックで対処しますよね。
あるタレントが、たくさんの応援よりも1つの誹謗中傷の方が気になってしまうと言っている記事を読んだことがあります。気にしていないつもりでも、やはり自分に向かう暴言は気になってしまいます。一般人だろうと有名人だろうと人間ですから、同じですし当たり前なのです。

見ないようにするのはもっとも手軽な対抗方法ですが、根本の解決にはなりません。たとえ見えないようにしたとしても、それでも一度受けた誹謗中傷は脳裏にちらついて離れなくなることもあります。
ミュートやブロック以外の、泣き寝入り以外の方法をご紹介します。

まずはじめにしたいことは、誹謗中傷やデマ、噂を流している投稿の削除でしょうか。
デジタルタトゥーと言われ、一度インターネットの海に放り込まれたものは金輪際消えることはありません。しかし、記憶は薄れていくものですから、元凶である投稿がなくなるのは大事なことでしょう。
その投稿が「消された」ことで、ほかの悪意ある投稿への牽制にもなりますし、それが嫌だと被害者が声を上げていることが物理的に証明できます。

 インターネット上に自身の権利を侵害するような情報(プライバシー侵害、名誉毀損等)があった場合には、本人もしくは代理人(未成年者であれば親などの保護者、弁護士)からサイトの管理者等に対して削除の依頼をすることが可能です。(総務省HPからの引用)

総務省のHPにもありますが、みなさんの人権は守られるものですから、侵害された場合は削除要請が可能です。
これは「プロバイダ責任制限法」にかかる内容であり、2001年に成立しています。
先にあげたSNS黎明期よりも前に成立しているものですが、この存在を知ってる人が何人いるのでしょうか?泣き寝入りをしている人が何人いるでしょうか?

発信者情報の開示請求なんてものもあります。少し調べてみたところ、今やLINEを利用して相談し、簡単に開示請求が可能なサービスもあるそうです。様々なことが、とても手軽にできる時代ですね。

さて、他にもできることはあります。簡単に言ってしまえば、賠償金の請求です。
実際に、以前お話しした誹謗中傷で亡くなられてしまったプロレスラーの母親は、誹謗中傷をしていた人に対し裁判を起こし、その結果、決して安い金額ではない賠償金の支払いが命じられました。
人の命がかかっていると言っても過言ではありませんから、なにもおかしなことではないんですよね。
直接手をくだしたわけではなくとも、その人の行為は立派な加害だと認められたわけです。

子役から活躍しているまだ若い女優さんも、同様にSNSで受けた誹謗中傷に対し訴訟し、示談金が支払われる結果になっています。
その女優さんのYouTubeでは、「社会的に罪を償ってほしい」という言葉が聞けます。

例に挙げているように、法的に罪であると、国は認めているのです。わたしたちにとってその意識は多少薄いものかもしれませんが、実際に例に現れています。
たとえ投稿が消されても、お金が支払われても、その傷は消えることはありませんが、それでも気は軽くなるのではないでしょうか。
こういった事例があること、あなたを守る法律があることを、忘れないでください。

変わっていく世界

さて、法的な手段を紹介しましたが、実際問題わたしたちは現状、法の下というよりはどちらかといえば倫理や道徳のもとでインターネット社会を生きています。法律がなければなんでもしていいわけではありませんから、まだ法律が追いついていない部分は、すべて倫理観や道徳心に委ねられているのです。

極端な話をすれば、「悪口を言っても、どうせこんな大衆の言うことなんて気にしないだろう」と思うことも、「どうせ届かないし聞こえないのだから、SNSで応援を伝えても意味ないだろう」は同じ意味です。
そこに、「でも言わない」「でも伝える」が加わるかどうかが考え方の違い、突き詰めれば倫理につながるのです。

インターネットにおけるコミュニケーションの原型は掲示板形式のものです。
現在と比べ匿名性が高く、ラフな空間だった代わりに治安もあまり良いとは言えませんでした。
その掲示板で誰かの悪口を言っても、その本人が直接調べ、見に行かない限り届かないことがほとんどなのも、ラフであった理由のひとつです。

しかし今のSNSは、「アカウント」というキャラクターが存在します。芸能人はもとより、一般的に利用しているわたしたちも、「わたし」「あの人」というキャラクター性をもち、交流しています。掲示板との大きな差はここにあります。

インターネット上は確かに匿名かもしれませんが、イメージとしてはもうひとつの世界のもうひとりの自分ですから、その世界ではちっとも匿名でもないんですよね。
わたしの保有するアカウント「A」は、そのSNSにおいて「A」という人格のあるキャラクターになっているのです。
この情報セキュリティ相談センターにもTwitterのアカウントがありますが、誰が運営しているかわからないからと言って悪意を持って誰かを攻撃すれば、「情報セキュリティ相談センターが悪意ある攻撃をした」と、思われるわけです。

時代とともに、インターネット上のコミュニケーション方法は代わりました。わたしたちの考え方も、そしてこの、現実空間とサイバー空間が融合したこの世界での生き方も、合わせて変わっていかなければならないのです。

本日のまとめ

全5回にわけてインターネットに散見されるトラブル、主に炎上と誹謗中傷について紹介してきました。
要するに人の気持ちを尊重する、法律を、決まりを守る、道徳心や倫理観を持つ、といったことが大事であり、現実と何も変わらないのです。
これから、現実空間とサイバー空間のふたつの世界はどんどん融合しますから、現実で持ちうる常識を、サイバー空間にいるあなたにも、もちろんわたしにも、インストールしなければいけません。

数回に分けてトラブルの話をしましたが、モラルを持って利用すれば決して怖い空間ではないのです。
わたしはインターネット上の仲良い友人がたくさんいますし、週末は一緒にゲームをします。住んでいるところはずっと離れていますが、会うために旅行に行く楽しみもあります。

マッチングアプリで出会った人と結婚する人もたくさんいる時代です。正しく使えば、便利で快適な空間です。
法律も、多少遅れはしたものの少しづつ変わっていっています。あとはわたしたちの意識が変わるだけです。

今変わるだけでなく、これから、成長していく世界に合わせて柔軟にアップデートしていくことが大事ですよ。
それを忘れずに、便利で、そして楽しいSNSライフを送ってくださいね。

<参考サイト>

政府広報オンライン
LEGAL MALL

総務省
IT media NEWS

インターネットという名の公共の場で人を傷つけるということ【3】

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

先週お話しした炎上のことを覚えていますでしょうか。それとも別のことで記憶は薄れていますでしょうか。

インターネットという公共の場で人を傷つけるということ【2】

インターネットに限らずこの世界は情報であふれていますから、別の情報で上書きされているなんてこともあるかと思います。

人のうわさも75日…というわけではありませんが、どんなに大きく取り上げられても、そのほとんどはいずれ風化していきます。

もしあなたが炎上したらどうしますか?あるいは、あなたではなくあなたの家族や友人、応援している芸能人が炎上したら?庇いますか?それとも批難しますか?

もちろん、炎上の原因によってもその態度は変わってくるかとは思いますが、擁護のために嘘をついてしまうこともあるかもしれませんし、正直に謝るかもしれません。

もしくは、本当のことを言っているのに信じてもらえなかったり、理不尽なことを言われ続けるかもしれません。

インターネットという大衆は、現実世界の何倍も簡単に人のことを傷つけることができます。

炎上はいずれ風化しますが、しかし、一度燃え上がった炎はいつまでも後に残ります。

先週、炎上した後にその火を消そうとした行為が逆に油を注ぐ結果になってしまった例のお話をしました。

インターネットで起きるトラブルにもいろいろありますが、言葉で傷つけるものと違い形として残ってしまいます。誰もが自由に出入りできるインターネットという名の公共の場で、故意に傷つけられたりなにかしてしまい批判されたとき、炎上してしまったらどうしますか?

本日は、炎上を知るお話です。



それを知る、学ぶということ

まず、何か間違ったことをしてしまったらどうするのが正しいでしょうか。

インターネットだろうと現実世界だろうと変わりませんよ。まずは謝ります。そして反省し、同じことを繰り返さないことが大事ですよね。

先週お話しした件を例にあげれば、「芸人だからと言って許される範囲の域を出た発言をしてしまった」ことが原因での炎上ですが、それを庇おうと、火に水をかけた人たちが同じように炎上しました。

原因である芸人さんに悪気はおそらくありませんでしたし、後日別の番組やラジオでも反省の色を見せていました。おそらくきっと同じことは繰り返さないでしょう。

その前に紹介したMVの不適切表現での炎上も、本人たちはまさか炎上するとは思ってもいなかったでしょうし、至らなかった部分を認め反省していましたよね。今後同じことをしないように注意するのではないでしょうか。

往々にして、炎上というものは意図しないところで大きく取り上げられてしまいます。その原因になった行為に悪意はなく、むしろ善意であることも多々あることです。

芸人はそうして笑いを誘おうとしたわけですし、アーティストもまさか不快な気持にさせるためにMVを作っているわけではありません。

これまでの炎上を上げだしたらキリがありませんが、ほかにも善意や行為が裏目に出た結果炎上してしまった、という例がたくさんあります。

好きなゲームの舞台を好きなキャラクターのコスプレで見に行ったら炎上した、なんてこともありました。本人たちはただそのゲームが好きでそういった行為をしただけですが、それは全体を見たらタブーだったのです。

でも、それがタブーであることを知らなければ、もしかしたらわたしだって同じことをしてしまうかもしれません。

こういった炎上を一度経験、あるいは目撃すれば、それがだめなことだとわかりますし、次また同じことで炎上しないように学ぶことができます。

1度目の炎上があまり大きくならなかったとしても、同じことを繰り返した場合さらに批判されることになります。現実でも、同じことで叱られるたびに母親に「何回言わせるの!?」と言われてきました。同じことです。

何事もインターネットだけの話ではありませんが、注意されたことは真摯に受け止め、その批判の原因をきちんと理解し、反省し次に生かすことが大事です。

間違いは、それを間違いだと知り、そして学んでわたしたちは大人になってきました。SNSを含むインターネットと言う名の公共の場は、まだ発達したばかりで、そこにいるわたしたちはまだまだ子供です。知り、学んでいくことが炎上を抑える、回避するコツなのです。



はだかの王様の自覚

たびたび思うのですが、インターネットにいる以上、わたしたちは誰もがはだかの王様になり得ます。

炎上や誹謗中傷だけに関わらず、インターネットでは膨大な量の情報を得ることができますが、そのすべてがわたしたちの目に入るわけではありません。

フィルタリングが容易になり、見たくないものを見ないようにできます。

膨大な情報の中から、好きなように好きな分だけ手に入るようにカスタマイズすることができる、それが現実世界との大きな差ではないでしょうか。

たとえば虫が苦手な人は、虫という単語でフィルタリングすることで、虫という単語が入った情報を見ないようにすることができます。

見たくないものは見ないに越したことありませんから、便利な機能ですよね。

しかし、以前にも言いましたが、便利な反面これでは一辺倒な情報だけを偏って得てしまうことがあります。

こういった偏った考え方が原因で、炎上してしまうケースもありますよね。それだけでなく、偏った考えが原因で誹謗中傷してしまうこともあります。

フィルタリングによって作られた偏った意見は、もしかしたら間違っているものかもしれません。しかし、そのフィルタリング下では確かに支持されているもので、それが間違っているということはそのフィルタリング外の誰かに指摘されるまで気が付けないのです。

自分好みで快適にカスタマイズされたインターネットは、はだかの王様になってしまう可能性を多分に孕んでいます。

たとえば、芸能人が炎上していたとします。その人はまだあまりメジャーな人ではなく、最近知名度が上がってきた人で、炎上の理由は週刊誌による熱愛報道だったとします。

その人を詳しく知らない人は、もしかしたらその人を口汚く罵るかもしれません。中には熱愛報道とは関係ないことを持ち出して、執拗にその人を責める人もいるかもしれません。

しかし、後日熱愛報道は誤報であり、その芸能人の妹だったという真実が公表されます。

その芸能人のことを詳しく知っている人にとっては、熱愛報道が妹のことであることはすぐにわかったことであり、事実も知らないで批判している人たちは「詳しく調べもしないで勝手なことで口汚く批判する」人たちなわけです。批判していた側は、誤報を信じ、それを大声で吹聴するまるではだかの王様です。

近年では誹謗中傷や殺人予告をしたユーザーを特定し、裁判を起こす方も増えてきました。事実もしっかり確認せず、一辺倒な知識だけで人を傷つける行為は、事実を知っている人からしたらとても愚かな王様です。

先週あげた、誹謗中傷が原因で自殺してしまった女性は、炎上した後「台本ではないが、スタッフに煽られた」といった言葉を残しています。また、同番組に出ていた人もそういうところがある、後から彼女には謝罪されていた(もちろんそれは番組側からの公開はなかったため、真偽はわかりません)といったことを公表しています。

みなさんは、詳しいことを知らないまま、はじめに得た情報だけで批判していませんか?

わたしたち大衆にはどうしても真実はわかりませんし、対芸能人となると好みや偏見の混じった情報から判断するしかありません。その結果に対する責任がないからと軽く考えていませんか?

その結果が、自殺でした。本当に責任はないのでしょうか?無知は、加害者になり得ますよ。

あなたは王様です。今手に持っているその端末では、あなたの欲しい情報だけが手に入ります。そんなカスタマイズされた世界で、はだかにならないように、そして、気が付かないうちにはだかになってしまう可能性があることを、しっかり自覚しなければいけません。



本日のまとめ

インターネットで起こしたこと、起きたことは一生残ります。デジタルタトゥーとも呼ばれ、一生消えることはありません。

炎上した原因も、その後の対応も、反省も、謝罪も、開き直りもごまかしも嘘も、全部、誰かが見ています。そして、一度でまわったものは消えることはありません。

先に挙げたように、知らないからこその過ちだってあります。繰り返しになりますが、わたしたちはインターネットにおいてまだまだ子供ですから、知らないことがたくさんあります。

とくにSNSによって作られた特定のジャンルコミュニティは、「暗黙の了解」が当たり前のように横行しています。それらをすべて把握するなんて到底無理な話です。しかし、その暗黙の了解を知らなかったばかりに多くの人に批判される、なんてことがたくさん起こっています。

誤った情報で人を傷付けないように、知らなかったことで人を傷つけないように、わたしたちは少しずつでも大人になっていかなければいけません。インターネットは、公共の場ですから。

<参考サイト>

エルテス

インターネットという公共の場で人を傷つけるということ【2】


おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

今日は何回SNSを見ましたか?そこは安全で平穏でしたでしょうか。

以前炎上のお話をしたかと思いますが、本日はその続きです。

前回:インターネットという公共の場で人を傷つけるということ【1】

さて、わたしは今日、朝起きてから、支度をして家を出る前、出勤途中、休憩時間、と4回SNSを見ました。発信するのは「おはよう」や「今日寒いね」といった差し障りのないものがほとんどで、主な活用内容は好きなアーティストやアイドルの情報収集です。今日、わたしのSNSは平穏でした。

みなさんのSNSはどうでしょうか?

毎日、どこかしこで誰かの「粗」がさらされ、それを火種として炎上しています。前回も触れたように、興味のあるジャンル以外の炎上まで追っていたらキリがないほどです。

インターネットは、自分の好みに合わせてフィルターをかけ、興味のある情報だけを入手することができます。

それは効率がいいというメリットの反面、それ以外の情報が入りづらいというデメリットもあります。偏見をなくしたいと思い、様々な意見を取り入れる人はさまざまな意見を取り入れられる反面、特定の意見だけを求めている人は特定の意見しか目に入らないため、偏っていってしまいます。

どこかで炎上が起きていても、関心がなければその概要も、原因も、結果も、何も知らないまま気が付けば鎮火してしまいます。

情報のあふれた社会ですべてを追うのは無理な話です。しかし、まったく知らないままでは、同じことを繰り返しかねません。

今日皆さんのSNSは平穏でしたでしょうか。それとも不穏でしたか?

今回も、SNSを、インターネットを不穏たらしめる「炎上」のお話です。



水をかけるか油を注ぐか

まず大前提として、誹謗中傷や侮蔑、無責任な噂は人権の侵害に当たります。「してはいけないこと」であることを念頭に置いておいてください。

「人が嫌がることをしてはいけない」のは当たり前のことです。子供の時から言われていますよね。喧嘩をしたら親や先生が止めますし、言ってはいけないことを言ったら注意されました。そうして自然と、してはいけないことといいことの区別が身について大人になっていきます。

それは、インターネットでも同じです。

インターネットでは、毎日のように炎上が起きていますがその要因は様々です。

前回紹介したような、本人たちが思いもよらないところの配慮の足りなさや失言が原因であったり、あるいは不道徳的、不適切な行為を咎められたり。

さらに、炎上した後の対応によってさらに炎上することがあります。

最近では、お笑い芸人が選挙特番での発言が指摘されて炎上していました。

無礼、失礼に値する発言が注目され、「テレビに出すな」といったハッシュタグができるほどの炎上になり、その後出演した別の番組で反省の態度を見せていました。

しかし、今回気になるのはその芸人の奥さんおよび所属事務所の社長の炎上です。

なぜ炎上したのでしょうか?

今回の炎上を受け、奥さんはツイッターで反論とも取れるツイートを投稿しました。その反論、あるいは擁護ツイートはすこしでも芸人の炎上を庇い、抑えるためのツイートだったわけですが、まったくの逆効果になってしまいます。

「開き直り」や「礼節がないことをしょうがないで事務所が許すべきではない」といった批判が殺到しました。

そして、翌日奥さんはこれら一連のツイートが「乗っ取られたもの」だと投稿し、さらに炎上へとつながりました。

その真偽はわたしたちにはわかりませんが、批判していた、炎上させていた側からすれば、「なかったこと」にしたかったと見えてもおかしくありません。それが火に油でした。

炎上はなかなか収まる気配がなく、奥さんが水をかけて収めようとした行為は、結果として火に油を注ぐことになってしまいました。

該当ツイートは消され、火種となった選挙特番から日数が経った今でも、奥さんが何かを投稿すると乗っ取られたことや擁護について言及するコメントが付きます。

その中には、まっとうな意見や指摘だけでなく、今回の件には関係のない根も葉もないうわさや、心無い暴言が含まれています。それはもう、火種である芸人の無礼や失言に関係なく、ただ執拗に攻撃を繰り返すことが目的になっています。

そういった、SNSで娯楽的に攻撃を繰り返す人がいるからこそ、炎上は繰り返されています。



誹謗中傷と炎上の目的

では、誹謗中傷や炎上がどんな結果を招くのでしょうか?

1年前、恋愛リアリティ番組に出演していたプロレスラーの女性が自殺するという事件が起きました。覚えていますでしょうか?

当時相当話題になりましたから、鮮明に覚えている方も多いのではないでしょうか?

彼女が出演していたリアリティ番組は、男女がシェアハウスをする様子を観察する番組で、「台本がない」ことが売りでした。台本がないということは、どんなことがおきてもそれは出演者の性格や本質というわけです。

女性が炎上したのは、この番組内で起きたとある事件が原因でした。

大事なコスチュームを他の出演者の男性が誤って洗濯してしまい、それに怒った女性がその男性の帽子をはたきおとし、番組は険悪なムードになります。

視聴者は、この回がオンエアされるとすぐにその女性に対して厳しいコメントをつけるようになります。

たとえば、「プロレスラーが手を出しちゃいけない」や「洗濯機に放置していた方も悪い」といった意見です。こういった批判や意見にはわたしにも同感できる部分がありましたし、多少注意されても仕方がないことというのは、この件に関わらずあることです。しかし、中には口汚く罵ったり、暴言、あるいは「死ね」や「消えろ」といったコメントもありました。

日常生活で「死ね」や「消えろ」といった言葉を残すとき、それは明確に相手を傷つけるためではないでしょうか。

たとえインターネット上であろうと、それは変わりません。しかし、インターネットの「匿名」という性質は、現実世界よりもずっと簡単に、バレずに相手を攻撃できるようになってしまいます。

当たり前のことですが、匿名なら傷つけてもいいわけではまったくありませんが、やっぱり心理的にも名前がバレている状態よりずっと攻撃しやすいのです。

この事件の後、番組はもちろん女性のSNSは剣呑な雰囲気になりますが、リアリティ番組はこういった雰囲気こそが醍醐味であり、オンエアのさらに後日、追い打ちのように女性が「相手の男性が100%悪い」と言っているシーンが公開されると、すでにかなりの勢いで誹謗中傷を受けていたSNSはさらに悪い意味で盛り上がります。

そして、女性は自身のSNSで「消えられるもんなら消えたい」「さようなら」といった言葉を残して自殺してしまいます。

消えろ、死ねなどの言葉を匿名で、安全地帯から投げかけていた人たちは、本当にこの結果を求めていたのでしょうか?

軽い気持ちで、それこそ軽口のように死ね、消えろと言っていた人が大半ではないでしょうか。現実世界でも、軽口のようにこの言葉を使う若者はたくさんいます。実際死んでほしいわけでも、消えてほしいわけでもありませんよね。

でも、その結果が自殺でした。

先程、娯楽的に攻撃を繰り返すと言いましたが、娯楽とまではいかなくても、ムカついた気持ちを誰かにぶつける、といった意味を込めて誹謗中傷をしていた人はきっといます。それが死に追いやるとは思ってもみなかったのではないでしょうか。


本日のまとめ

誹謗中傷が原因で自ら命を絶った方はこの女性だけではありません。その原因がリアリティ番組なのも、世界を見れば彼女だけではありません。

数年前、日本でも活躍していたK-popアイドルの自殺も話題になりました。

その数日前に、その友人の女優も自殺しています。どちらも誹謗中傷に悩んでいました。

言葉はナイフとはよくいったものです。

テレビに出る彼女たちにとって消費者であるわたしたちは、片手で、指一本で簡単に傷つけることができてしまいます。

誰だって、たくさんの応援よりもひとつの誹謗中傷が気になってしまうものです。

インターネットだから、匿名だからといって、人を傷つけていいわけではありません。当たり前のことです。

インターネットは、公共の場です。匿名だろうと、そこにいるのはもうひとりのあなたです。

軽い気持ちで、加害者にならないように気を付けなければいけませんね。

次回は炎上のその後についてのお話です。



<参考サイト>

総務省

無断転載に情報流出!SNSのマナー、大丈夫?

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

みなさま、SNS使っていますでしょうか?

LINEとか、Instagramとか、ツイッターとか…。ソーシャルネットワーキングサービスの略称を、SNSと言います。

電車に乗っているとき、仕事の合間、寝る前、そんなすこしの空いた時間についつい見てしまいますよね。わたしもよく利用します。とくに寝る前なんかは、少しだけ見るつもりが、気が付いたら時間が過ぎていて…なんてことがよくあります。きっとわたしだけじゃないはずです。

日本では、「mixi」や「GREE」などがサービスを開始した2004年ごろが黎明期でしょうか。

mixi、懐かしいですね。普段は知り合うことのない違う学校の子や先輩と、気軽にコミュニケーションを取ることができる貴重なツールでした。

さて、SNSが登場してから15年以上が経ちます。SNSはプライベートだけでなく、ビジネスシーンでも使われることが増えましたよね。ツイッターの企業アカウントが話題を集めるなんてこともよくあり、今やSNSは企業の「アピールの場」になっています。

無料でだれでも利用することができるので、多くの人に見てもらうことが可能な、そんなアピールの場ですが、逆に言えばなにか「やらかし」てしまえばまたたく間に多くの人の目に入り、「炎上」する可能性を多分に秘めています。

そんなことにならないように、本日はSNSのマナーを改めておさらいです。

当たり前のことですが、再度確認しましょうね。

 

迂闊な個人情報

初歩的な話になりますが、まずもっとも気を付けなければいけないのが個人情報の扱いです。

「学校用アカウント」といった見知った友人と交流するアカウントもあれば、そのほとんどが会ったことのない趣味の合う人たちと交流するアカウントなど、いくつかのアカウントを使い分けている人も少なくないかと思います。

前者の場合、本名はもう知っている人と交流することがほとんどですし、Facebookなどは本名で登録しますから、「本名を言ってはいけないことはわかってるけどいまさら…」なんて考えていませんか?

後者のようなアカウントはもちろん、前者のようなアカウントも、本名含めて個人情報を安易に記載してはいけません。

SNSは直接的な1対1のやり取りではないぶん気軽です。

たとえば、「誰か〇日どこどこに遊びに行かない?」となんともなしに投稿したとします。仲の良い友人がそれに反応し、「じゃあ〇日何時にどこ集合ね」なんて、そのままSNS上で約束をする…。ここまで具体的なこともそうないでしょうが、でもあり得る話ですよね。実際、わたしも朝学校に一緒に行く約束をSNS上でしたことがあります。

しかし、そんななんでもないような会話が何か事件になってしまうかもしれません。どこに誰が何時にいるかが明らかになっているんです。

何時にどこにいたという情報、投稿している写真、家族構成や話している内容、そんな情報だけでも、個人は特定されかねません。

「文化祭に有名人が来る」とか、「母校が有名人と同じ」だとか、調べたらすぐにわかってしまいます。

人気YouTuberの家にファンが押し掛けてきたなんて話もよく聞きますよね。

たとえ一般人のプライベートなアカウントだろうと、だれがどこで見ているかわかりませんよ。

発言はもちろん、投稿する写真にも気を使わなければいけません。

「近所にかわいい猫がいた」といって野良猫を撮った写真に、町名の書かれた張り紙や電柱が写り込んでいたり、夜ご飯の写真の隅に個人情報の書かれた書類が映り込んでいたり…。ちゃんと気を付けていますか?

少し前、趣味の話で仲良くなった人(もちろん一般人でした)が失言で炎上したことがあります。その人の発言は看過できるものではありませんでしたが、その際、数か月前に投稿した段ボールの写った写真から住所が特定され、さらに学校も特定される騒ぎにまでなりました。

その人がアカウントを消したことで騒ぎは収まりましたが、その件には全く関与していなかったわたしですらなんだか嫌な汗をかいたのを覚えています。

段ボールは、別のものを撮った写真のすみっこに写っていただけです。わたしは数か月前にリアルタイムでその写真を見ていましたし、住所が載っているなんて微塵も気が付きませんでした。その人も気が付いていなかったのでしょう。たしかに初歩的な話ですが、気が付かずに迂闊になってしまう人は少なくないのです。

自分の全く知らない不特定多数の人が、自分の住所を知っていると考えたらゾッとしてしまいます。

違法な画像たち

個人情報については、プライベートなSNSの利用方法にフォーカスしてお話ししましたが、もちろん企業アカウントでも気を付けなければいけません。

社内の様子を撮った写真を、映っている社員に無断でSNSに投稿したりHPに掲載したりしていませんか?載せることに関してはひとまず置いておくとして、その写真に写っている人が名札をしていたら立派な個人情報流出です。

会社の所在地はもともと掲載しているものだし、と気を抜いていてはいけません。社員の本名、あるいはその人がそこで働いているという情報、そのどちらもが「個人情報」に当たります。

名札だけではありませんよ。個人を特定できる画像、防犯カメラの映像、音声データ、すべてに気を付けなければいけません。

では、先ほど置いておいた「載せること」についてですが、インターネット上に画像を投稿するのには十分な注意が必要です。

まず、先ほど挙げたように無断で社員の写真を投稿することは「肖像権」の侵害に当たります。SNSに画像を投稿する際に気を付けなければいけないのは、主にこの「肖像権」と「著作権」の二つです。

法律の話になりますから、難しい話ではあるのですが、「肖像権」は自分の写真を無断で撮られたり、それを無断で公表されないように主張できる権利、「著作権」は著作物(アイデア等を作品として表現したもの)を創作した、著作者に与えられる権利のことです。

ざっくり言えば、「他人を勝手に撮ってはいけない、載せてはいけない」「人のものを勝手に使ってはいけない」といったところでしょうか。

詳しく解説すればもっと細かいのですが、ひとまず「やってはいけないこと」がざっくり理解できていればいいです。

法律でダメなこととして決められてはいるのですが、これらは「無断転載」という形で犯されているのが現状です。

わかりやすいもので言えば動画サイトに投稿されているアニメなどがこれに当たります。

アーティストのミュージックビデオなんかも散見されます。もちろん、その権利がある人が投稿しているものもありますが、逆に言えばそれ以外はすべて違法なのです。

「漫画村」なんかも話題になりましたよね。

漫画、アニメ、ミュージックビデオ、これらはわかりやすいです。

では、みなさんのSNSは大丈夫ですか?

好きなアイドルのミュージックビデオを録画して投稿、自分の画像にきれいなイラストを合成したものを投稿、かわいい猫の写真を保存して投稿、大丈夫ですか?していませんか?

これらすべてが著作権の侵害に当たります。

好きなアイドルを街で見かけて写真を撮り、許可なく投稿されたその写真を保存し、再度自分で投稿する…なんてことがあれば、肖像権も著作権も侵害することになります。

ほかにも、HPの素材にしたりアイコンにすることも侵害に当たります。注意深くSNSを見ていれば、たくさんの無断転載が見つかります。

みなさんは大丈夫でしょうか?もし知らなかったのなら、該当する投稿は消して、これから気を付けましょうね。みんなやっているから良いわけではありませんよ。

本日のまとめ

本日紹介したのはほんの一握りです。

他にも、従業員が飲食店の冷蔵庫に入っている写真が拡散された事件なども大きく話題になりましたよね。話題になってもなお、雇先に迷惑がかかる行為をする「バカッター」と呼ばれる人たちは後を絶ちません。

いずれこの話もどこかで取り上げたいと考えていますが、SNSの誹謗中傷によって自ら命を絶ってしまうといった事件も起きています。

SNSはこれからも、様々な用途で利用されます。YouTuberをはじめとする、SNSを利用した新しいビジネスも展開されている時代です。それらは適切な利用であれば、ビジネスにおいても大きな武器になります。

しかし、些細なことで大きな火種にもなりかねないのです。

無料で、だれでも使えてとても気軽なSNSですが、しかし気軽だからこそ、多くのリスクをはらんでいます。

それはインフルエンサーだから、一般人だから、企業だから、と区別されるものではありません。どんな人でも、どんな立場でも気を付けなければいけないのです。





<参考サイト>

#GROVE

VAIOサポート

JRRC

脱パスワード?当たり前のセキュリティをバイオメトリクスに

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

「asdfghjkl」って、何の羅列だと思いますか?「1q2w3e」は?「1qaz2wsx」は?

一見なんの法則性もない適当な英数字の羅列ですが、入力してみれば「あっ」となるんじゃないでしょうか。

…気が付きましたか?

「asdfghjkl」はキーボードの真ん中の列を左から順番に並べたもの、「1q2w3e」は右上から2段づつ3列並べたもの、「1qaz2wsx」は右上から下に順番に2列並べたものです。パソコンで入力すればすぐに気が付きますよね。

情報通信企業「Nordpass」が発表した、よく使われるパスワードランキング2020年版に、上に挙げました3つの羅列がランクインしています。

わたしたちは1日に何回パスワードを求められるでしょうか。このサイトあのサイト、あのアカウントにこのアカウント、1日何十回とパスワードを求められますよね。パスワードをかけることは、セキュリティにおける当たり前の第一歩です。

しかし、それが当たり前になりすぎていませんか?難解なパスワードを覚えるのは面倒くさいし、それぞれ別のパスワードを使ったら覚えきれないし、結局いつも使うわかりやすいパスワードで統一していませんか?

本日はそんな、当たり前になりすぎておろそかになりがちなパスワードのお話です。


ごく当たり前のセキュリティ

冒頭でも挙げましたが、パスワードをかけることはセキュリティを守る「当たり前」の行動です。

利用している通販サイトにパスワードをかけて、登録してあるクレジットカードを第三者に使われないようにする、といったごく当たり前のことです。

つまり、誰かに知られてはいけないし、推測できるものでもいけません。銀行やクレジットカードで使われる4桁の暗証番号を登録するとき、「1111」や「1010」といったぞろ目や連続した羅列、あるいは誕生日といった簡単に推測できる数字は禁止されています。どんなサイトであろうと、それは同じことで、ごく当たり前のことです。

Nordpassのパスワードランキングでは、1位に「123456」、4位に「password」、6位に「111111」がランクインしています。読んでくださっている方の中にも、これらのパスワードを使ってる人がいるんじゃないでしょうか?

危険だとわかっていても、それでも「覚えやすくわかりやすい」ことを優先してしまう人が多くいます。

不正ログインの手口はいろいろありますが、中でも有名なのはやはり「ブルートフォースアタック」です。総当たり攻撃ともいわれ、言葉の通り考えられるパスワードを総当たり的に試していく方式です。

また、パスワードに利用されがちな単語を体系化したデータベースを利用する「辞書攻撃」もよく使われる手段です。対象が明確であれば、誕生日や電話番号などからさらに絞り込むことが可能です。

では、みなさんが不正ログインをする側にたったとして、半角英数字のパスワードをなにかしら入れるとしたらなにを入れますか?やはりぱっと思いつくのは「111111」や「password」じゃないでしょうか。どちらにしても、すぐに暴くことができてしまうパスワードです。

ブルートフォースアタックは、まず「aaa」を入力し、ダメなら「aab」、「aac」、「aad」というように、少しづつずらして入力する方式ですから、「1」のぞろ目なんてものの数分でログインされてしまいます。

辞書攻撃でも、辞書を開かずともまず「password」と入れてみたら一発でログインできてしまうかもしれません。そうでなくとも、好きなもの、例えば「apple」や「basket」といった単語から、ログインできるかもしれません。

これらの方法は途方もない作業のように思えますが、理論上はいつかパスワードに行きつきます。途方もなくなって諦めざるを得なくなるくらい、複雑で難解なパスワードでなければいけません。

他にも、別のサイトで使用していたパスワードを入手し、目的のサイトで試す、といった方法もあります。だって、アプリ、サイト、アカウントごとにパスワードを変えている人が何人いますか?アプリもサイトもアカウントも、ことあるごとにログインを求められる時代です。全部なんてとてもじゃないけど覚えてられないですよね。

ごく当たり前のセキュリティを、ごく当たり前に機能させるには、「推測されにくい複雑な羅列」かつ「複数アカウントで同じパスワードを使わない」ことが重要になってきます。

理想と現実の現状

とはいえ、複雑な羅列を何種類もIDやアカウント名と紐づけて覚えることは簡単なことではありません。それで忘れてしまってログインできなくなったら元も子もないですからね。

Windowsは、8文字以上かつ大文字小文字数字記号の4種類をすべて含み、名前やユーザー名、一般的な単語を含まない、の条件を満たしたものを強力なパスワードの基準としています。

そんなパスワードを何種類も管理するなんて無理な話です。しかし不正ログインは怖い…。

どこかにメモしておけば確かに管理することは可能です。しかしそのメモはどうやって管理しますか?

そのメモを失くしたら、ログインできなくなるうえに全てのパスワードが漏洩してしまったことになります。管理ツールを使っても、じゃあ管理ツールのパスワードはどこで管理しますか?

たとえセキュリティのためとはいえ、求められているものに少し現実味がないですよね。

そうなるとやはり、覚えやすくてある程度統一されたパスワードを使わざるを得なくなり、しかしセキュリティ面で不安が残る…堂々巡りです。

パスワードは当たり前のセキュリティですが、現状、あくまで最低限なものになってしまっているのです。

入力しないパスワード

では、どうやってセキュリティを高めていけばいいのでしょうか。

ようは本人であることが証明できればいいわけです。実は身近にある人も結構いるのではないでしょうか?

iPhoneはSE(第2世代)、iPhone8から指紋認証を、iPhone10から顔認証を搭載しました。それぞれTouch ID、Face IDと呼ばれているものですね。

情報が資産となる現代において、パスワードの管理不備及び漏洩は大きな影響を及ぼしかねません。

そんな中、米マイクロソフトはアウトルックやチームズといった自社アプリで、顔認証などの生体認証を標準としました。

指紋や顔、あるいは声紋、虹彩を利用した認証方法をバイオメトリクス認証と言います。

生体認証であれば、脅威である「パスワードが外部に漏れる」おそれを、そもそも根本からなくすことが可能になります。

増え続けるサイバー攻撃、不正アクセスに、パスワードではもう限界が来ています。

パスワードが漏れることで流出した情報はなかったことにはできませんし、信用も失います。在宅勤務も増え、働き方が変わっていくまさにその過渡期にいます。情報の管理には、一番に気を使わなければいけません。

セキュリティは、企業を支える大きな柱の一つになっているのです。

マイクロソフトの生体認証化を皮切りに、多くの企業が脱パスワードを考えていかなければいけなくなっています。

本日のまとめ

バイオメトリクス認証がすべて優れているというわけではありません。まだまだ精度が低いものもありますし、不便な時もあります。それこそコロナ禍でのFace IDとか、ちょっと面倒くさいですよね。マスクだと反応しなくて。

しかし、その精度はどんどん上がっています。きっと、マスクにもすぐに対応するでしょう。

実際にiPhoneでは、パスワード入力などもバイオメトリクス認証でスキップできるようになりました。

「脱パスワード」は、気が付かないところで進んでいるのです。

好きな映画に、問題を解決するために敵組織のシステムに入らなければいけなくなるシーンがあります。その時主人公は、どこでシステムに入るためのパスワードを入手したと思いますか?

……敵組織のボスが座っていた椅子の手元です。手元に、メモを残していました。パスワードの意味がまるでありませんよね。

そんなことにならないように。パスワードの管理は適切に!そして脱パスワードへ。

<参考サイト>

NORDPASS

日本経済新聞

ポチッと!指先ひとつでお買い物時代

おはようございます。情報セキュリティ情報センターです。

日本に通信販売が誕生してから145年が経つそうです。その媒体は雑誌やカタログからはじまり、はがき、チラシ、そしてテレビやラジオを経て、インターネットのウェブサイトへと形を変えています。

コロナ禍で外出が随分と減りましたよね。その分、インターネットで買い物をすることが増えたのではないでしょうか。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング。誰しもが1度は利用したことがあるかと思います。

わたしも何度も利用しています。今住んでいるところはスーパーが遠いので、食料品なんかも通販で頼みがちです。

家にいるだけでほしいものが手に入るんですから、それは便利なんですよね。例えばお酒やお米をスーパーで購入して、車で家まで帰ってきて、重たい荷物をもってアパートの階段を上るくらいなら、家で購入して玄関の前(ないし宅配ボックス等)まで持ってきてくれた方が楽ですし、その分、別のことに時間を使えます。

インターネットスラングに、インターネット通販で物を購入することを指して「ポチる」という言葉があります。スイッチやボタンを押すときの「ポチッ」という擬音語からできた言葉で、「購入」ボタンを押すことにちなんでいます。

ポチッ…と押すだけで、購入が完了してしまうんです。通販は、145年でそれくらい気軽なものになりました。

通販とは少し違いますが、今や賃貸契約なんかもオンラインですべてできます。

食料品や日用雑貨といった小さなものだけでなく、高額なものも「ポチッ」と契約ができてしまうんです。

本日はそんな、通販のお話です。

ニューノーマルな「ポチる」

通信販売の歴史は145年ほど前、1876年に農業雑誌でトウモロコシの種が販売されたのが始まりと言われています。その背景には、1871年に始まった郵便制度があるでしょう。インフラが整うことで、これまでになかったことができるようになりました。

その媒体はカタログやチラシへと広がり、ラジオやテレビが普及すればラジオショッピングやテレビショッピングへと拡大していきます。こうして通販の市場は広がり、平成初期には市場が2兆円を超ました。

そして1995年、Windows95が日本で発売されたことにより一般家庭に急速にインターネットが普及し、同時にインターネット通販も急速に広がります。大手メーカーが次々と通販に参入し、さらにAmazonや楽天といったECショッピングモール、オークションサイトやフリーマーケットサイトと、さまざまなかたちに広がっていきました。

今や当たり前の「通販」は、時代に合わせて進化した技術やシステムが作りあげた新しい常識なのです。ニューノーマルというほど新しいものでもないですが、それでも長い目で見ればニューノーマルと言えなくもないでしょう。150年前の人類には、想像もつかない「お買い物」の形です。

なにか欲しいものがあるとき、支度をして家を出て、目的のものが売っているお店に行って、それを購入して家に帰る、という当たり前のことが、「ポチッ」で完了してしまいます。まったく便利な世の中です。

メディアショウウィンドウ

NBAのスター選手マイケル・ジョーダンにちなんだナイキのバスケットシューズ、「エアジョーダン」のシリーズは、その人気ぶりに奪い合いで殺人事件が起きています。発売日には暴動が起きるほど人気のこのシリーズは、マイケル・ジョーダンというインフルエンサーにちなんだものだからこそ、ここまでの人気を博しています。

インターネットが生活に密接している今、そういったインフルエンサー影響力はかなり大きいものとなっています。ここまでインターネット販売が当たり前になった背景に、そういったインフルエンサーの存在もあるでしょう。

「インスタ映え」なんて言葉もありますし、その商品を使った「映え」な写真がSNSで「バズ」れば、売り上げが上がること間違いなし!なわけです。

また、YouTuberとのタイアップといった宣伝もメジャーになりつつありますよね。

家で見ていた好きなYouTuberのおすすめしていたスイーツ、わたしも食べてみたい!と思っても、店舗が近くになかったり、夕方に行ったらもう売り切れていたり。通販を使えばそんな思いをしなくてもいいですし、なによりも購買意欲が最も高い時に「ポチッ」と買うことができてしまいます。

また、広がる宣伝はインフルエンサーだけに限りません。

このコロナ禍で外出が減り、観光地や飲食業は不況のあおりを大きく受けました。学校がなくなりたくさんの牛乳が余りました。そんな中で、SNSで発信されたSOSがいくつもあります。

牛乳が余っているから買ってほしい、毎日売り切れていた商品が余ってしまったから半額で通販します、そんなSOSです。

わたしはずっと気になっていた京都の有名な甘味処のお餅をこの機会に「ポチ」りましたし、拡散された牛乳消費レシピで見たラッシーをたくさん飲みました。(どちらもとてもおいしかったです!)

雑誌の文言から始まった通販ですが、カタログやチラシ、テレビ、あるいはHPといったマスメディアを使うことによって、より効果的に商品を紹介することが可能になりました。

通販の大きなネックは、現物を見ることができないことです。しかし視覚的な情報は、文章だけの宣伝よりはずっと効果的な判断材料になります。

そこにインフルエンサーが実際に使用した感想や意見が重なれば、さらに購入のハードルは下がっていきます。

今やマスメディア全体があらゆるもののショウウィンドウになっているのです。

GenZ世代への車

10月4日、日本を誇る大手自動車メーカー「ホンダ」がオンラインストアを開設しました。商談、見積もり、査定、契約がオンライン上ですべて可能になりました。

画像:Honda on 公式webサイト

………車がです。信じられますか?

食料品や日用雑貨の通販とはわけが違います。たしかに、通販で何万とするものを購入することはありますが、それでも桁が違います。それほどまでに、“オンライン”化というのは進んでいます。

今回開設された「Honda ON」では、スマートフォンで見ることが想定されたUIに、SNS上でのリアルタイム口コミを集めたUGCの表示など、現代的なサイトの作りとなっています。

また、今回のオンラインストアでは新車の「サブスクリプションサービス」の契約が始まり、
人々の意識が「所有」より「利用」を求めている現代に適応しています。

オンライン化にサブスク化と、車離れの激しい若者、特にGeneration Z(Z世代)への意識が感じられます。

まさにZ世代であるわたしは、オンラインですべてできることも、購入ではなくサブスク契約であることも、従来のものよりずっと魅力的に感じます。

もちろんこれは人それぞれですから、直接話が聞きたいよ、とか、いやいや車は所有したいでしょ、とか、同じZ世代にもたくさんいるかと思います。それでも、対象の幅は大きく広がったのではないでしょうか。

本日のまとめ

車のオンラインストアがはたして通販なのかと言われると、少し首をかしげてしまいます。しかしインターネット上で購入手続きをするわけですから、間違っていないはずです。ただ、「車の通販」に馴染みがないだけで。

いずれこれがスタンダードになる未来があるかもしれません。車だけに限らず、です。

冒頭でも挙げましたが、賃貸契約もオンライン上で済んでしまう時代です。今住んでいる家の契約をした際は、鍵を受け取りに行くときにはじめてお店に行き、担当者さんの名刺をいただきました。

考えてみれば、車に同じことができるのはなにもおかしいことではないんですよね。

このコロナ禍で大きく見直された「オンライン化」ですが、その真価はコロナ禍だからにとどまりません。

我々の常識は少しずつ「デジタル」で「オンライン」へと塗り替わっていきます。

デジタルパイオニアと言われるミレニアル世代と、デジタルネイティブと言われるZ世代がそのほとんどを占める社会はすぐに来ます。自分はネイティブだからとうつつを抜かさず、常に時代の進化に柔軟に対応していきたいものです。



<参考サイト>

HONDA公式webサイト

KINTO ONE

HONDA ON

INPRESS BUSINESS MEDIA

そのスマホ、大丈夫?便利で手軽な時代に潜むスマホの穴。多発するサイバー被害の紹介

おはようございます。小江戸情報セキュリティ相談センターです。

みなさんセキュリティ対策、していますでしょうか?

インターネットが当たり前になり、どんなことでもデジタルで済ませられる時代です。

通販やネットバンキング、ゲームへの課金など、スマホひとつで大金が簡単に動きます。

便利な時代ですね。わたしのスマホなんてお財布よりお金が入っています。

そんな大事なスマートフォンのセキュリティ、大丈夫ですか?

本日はスマートフォンをとりまく被害についてご紹介します。



情報セキュリティ10大脅威って?

引用元:IPA情報処理推進機構(情報セキュリティ10大脅威)

情報処理推進機構IPAが発表した「情報セキュリティ10大脅威」というものはご存じですか?

2020年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる、情報セキュリティにおける事案の中から選ばれた、10の脅威ランキング。

スマホ決済、ネットの誹謗中傷、不正アプリ。どれもこれも、スマートフォンの便利さや手軽さの陰に隠れているんです。

よく聞くけど、自分は大丈夫…なんて、ぼんやり思っていませんか?

あるいは、自分なんて狙われない…とか?

ダメですよ!

今やスマホはパソコンよりもよっぽど“手軽”な攻撃の的なんです。

手軽なスマートフォンですから、ついつい気が抜けて、気が付いたら取り返しのつかないことに…なんてことになりかねません。

便利なスマホの落とし穴は、そこら中に転がっていますよ。加害者側にとってもお手軽ですから。

では、どんな被害があるのか、いくつかピックアップして解説していきます。

どういった被害があるのかきちんと知ることがセキュリティの第一歩です。



被害例1-スマホ決済の不正利用

 

キャッシュレス化を加速させたのはスマホの普及といっても過言ではないでしょう。

レジでスマホをかざすだけ。チャージもオートチャージであったり、iPhoneであればfaceIDを解除するだけ。

昨今のコロナ禍でも、現金のやり取りなしで買い物ができてしまうすぐれものですね。

そんなすぐれものであるスマホ決済の不正利用が、2020年に続き個人脅威の第1位に選ばれました。

今年の3月、警察庁がその詳しい手口を公開したことでも話題になりましたね。

公開された犯行の手口は次の通りです。

①携帯電話販売代理店の利用申し込みに必要な個人情報を不正に利用し、口座をスマートフォンの決済サービスにひも付ける

②他人のメールアカウントを無断で利用し、犯行用のスマートフォン決済サービスのアカウントを作成

③以上のアカウント作成と口座連携を短期間で大量に行い、買い子が別の端末から短時間で連続決済を行う。

たびたび問題になる個人情報の漏洩ですが、その被害は便利になればなるほど甚大になります。

本当にそのお店、信用できますか?本当にその人、信用できますか?いつどこで漏れるかわかりません。

個人情報の取り扱いは慎重に!

 




被害例2 -クレジットカード情報やインターネットバンキングの不正利用

 

通販やスマホ決済や振込、どういった方法でお支払いしてますか?ほとんどの方がキャリア決済かクレジットカードじゃないでしょうか?

カード情報は一度登録すればその後のお買い物で省略できますし、キャリア決済も利用料と一緒に引き落とされて便利ですよね。

あるいはネットバンキングなんて方法もあります。わたしも毎月家賃はネットバンキングで振り込んでいますし、銀行やATMまで行って振り込んだ回数なんて片手で数えるくらいしかありません。便利な世の中だな~~と思います。

そう、とっても便利です。便利なものは、恰好の的なんです。

不正アクセスや後述するフィッシング詐欺、ウイルス感染などで漏洩したクレジットカード情報やネットバンキングの認証情報を不正利用される被害が多発しています。

振込や支払いがインターネットでとても手軽に簡単にできるように、情報をインターネット上から不正に拾い集めることもとても容易なことになっています。

友人は自身のクレジットカードで見知らぬ人の飛行機代を支払っていました。

ネットバンキングもクレジットカードも直接口座に結びつきます。洒落にならない額が動きます。

気が付かないうちに手遅れにならないように、細心の注意を。

利用端末は最新の状態ですか?

セキュリティソフトは入っていますか?

正規のアプリ使ってますか?

まさかとは思いますが、ネットカフェのような公共のパソコンで手続きしてないですよね?



被害例3 -フィッシングによる個人情報等の詐欺

 

みなさん、迷惑メールの区別、ちゃんとついていますか?

ついてるに決まってるだろ!馬鹿にするな!…って思いますか?

最近のフィッシングメール、フィッシングサイトもなかなか馬鹿にできませんよ。

よく知ったサイトからメールで届いたリンク。そのリンク先もよく知ったサイトそのもの。

じゃあ大丈夫か、なんて思ってIDとパスワードを入力………した瞬間に全然違う知らないサイトへ。あーー!やってしまった!

…なんてことが実際に起こるんです。絶対引っかからないと思っていても、その巧妙な罠に引っかかってしまう人がいるんです。

……………わたしも引っかかりました。絶対引っかからないと思っていたんですけどね…

フィッシング詐欺に引っかかったらすぐに対象アカウントのパスワードやIDを変更しましょう。

もしも同じパスワードやIDを使用している別のサイトのアカウントがありましたら、そちらも変更しましょうね。

※※※同じIDパスワード使っちゃだめですよ!!!!!!!!!※※※

搾取された情報は簡単に悪用され、金銭的な被害になることも考えられます。

わかりやすい迷惑メールたちに紛れる、巧妙なフィッシングメールの見極めができる大人になりましょう。



被害例4 -不正アプリによるスマートフォン利用者への被害

 

スマホとガラケーの大きな違いはアプリですよね。ゲームやSNS、クーポンや便利なツールなどなど、様々なアプリがリリースされています。みなさんはいくつのアプリをインストールしていますか?20?50?過去に消したものも含めれば、100を超える人だっているのではないでしょうか。

そんなアプリにも悪意を持ったものが存在します。

意図せず不正アプリをインストールしてしまい、そこからウイルスに感染したり不正操作や情報窃取される被害が発生しています。

あるいは、利用していたアプリの運営が情報を漏洩してしまうことも。

有名なアプリでも、過去に情報漏洩で問題になったものがあります。

そのアプリ、インストールする前に少し待って!本当に大丈夫?誘導されたアプリ、誘導されたままにインストールしてない?

宅配業者等になりすましたSMSがスマホに届き、誘導されたサイトから意図せず不正アプリをダウンロードしてしまったり、公式マーケット上に通常のアプリに紛れ込ませて不正アプリが公開されている事例が確認されています。

思い当たる節、ありませんか?スマホの画面の隅に、見知らぬアプリ、ありませんか?

アプリの管理はしっかりと!



本日のまとめ

いかがでしたか?今日あげた事例はほんの一部です。

便利な世の中の最先端を走るスマートフォンですが、詐欺や犯罪の媒体としても最先端を走っています。

自分なんて狙われるわけない…。

なんとなく大丈夫でしょ…。

今までの被害者もみんなそう思っていたに違いありません。

きちんと意識すれば防げることがたくさんあります。

あなたのスマホから窃取された電話帳から、あなたの電話帳に登録していた人にまで被害が及んだらどうしましょう。

セキュリティの甘さは、あなたを加害者にしかねません。

手元にあるその端末は、とてもお手軽な情報という名の宝の山です。

便利さに隠れた詐欺という無数の落とし穴を見逃さないように、うっかり落ちてしまわないように。

スマートフォンのセキュリティ対策をきちんとして、便利で快適なスマホライフを送りましょう!