事務所移転時のインターネット回線と電話回線の扱いについて

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

いきなりですが、事務所を移転するときに皆さんは何から手をつけていきますか。

移転となると様々な申請やら登録やら多岐にわたっての準備が必要で何から手をつけたらいいか分からない方が多いかもしれません。

多くの方が立地条件や物件価格、事務所レイアウトなどヒト・モノ・カネをメインに考えていくと思われますが、実際に移転が決まった際にインターネット回線や電話回線の移設手続きの手配に多くの時間を有することをご存じでしょうか。

ここではインターネット回線や電話回線を移設する際のポイントを3つに絞ってお話していきます。少しでも参考になればと考えております。


使用中の回線種類の把握

まず移転前に確認したいのが、現在使用している回線の種類となります。インターネット回線だけでも現在多くの事業者が様々なサービスと共に提供を行っております。光回線だけでも様々な光コラボレーション事業者が取り扱っており、NTTが提供しているフレッツ光で契約していると思っていたら違う事業者だったなどとお聞きすることも多くございます。プロバイダーや携帯ショップ等の携帯キャリアでも光回線を取り扱っており、様々なセット割やオプション付加などを行い、顧客の囲い込みを行う企業が増えてきております。

そんな中いざどこで契約していたのかを調べた際にどこで契約しているのか分からず、契約先を把握できない場合もあるようです。NTTに連絡したが、契約情報が見当たらないとたらい回しになったケースをお聞きすることもあります。

ここでは提供されているインターネットの光回線サービスの種類をご紹介します。

・NTT:フレッツ光

フレッツ光はNTT東日本・西日本が提供する光回線です。回線以外にひかり電話やフレッツテレビなど様々なサービスを提供しております。NTT東日本とNTT西日本では提供エリアの違いがあり、提供しているサービスプランや名称、価格等が異なります。東日本から西日本、西日本から東日本へ移転などがある際には注意が必要です。

・KDDI:au光

KDDIが独自に整備した光ファイバーを利用した光回線です。au携帯やスマートフォンをご利用になっているとセット割や家族割などの割引サービスが受けられ、auユーザーにとってはメリットが大きい光回線です。

・So-net:NURO光

2013年よりSo-netが提供している光回線です。NURO光の最大の特徴は下り最大2Gbpsの回線速度です。速度重視のユーザー層からは高い支持を獲得しています。

・電力会社系の光回線:例 FITWebヒカリ(北海道)・TOHKnet(東北地方)等

各地方の電力会社が提供しているご当地光ファイバー回線です。提供エリアが限定的ではあるものの、各地方では高い人気を誇っています。地域密着型のサービスを提供しており、地域によってはフレッツ光よりも高いシェアを持っているサービスです。

・光コラボレーション事業者:ドコモ光・Softbank光・OCN光等

NTT東日本とNTT西日本からフレッツ光回線の提供を受け、各社の独自サービスと共に光回線をサービス展開しているプロバイダーや携帯キャリアなどの事業者のことを指します。2015年2月にNTT東西が光回線サービスの卸売を開始したことにより、光コラボレーションモデルと呼ばれる仕組みが始まりました。各事業者が独自のサービスを付加価値として提供するケースが多いので、一度調べてみる価値はあるかもしれません。

光回線以外ではCATV(ケーブルテレビ)を使用してインターネット接続を行っている企業もございます。ケーブルテレビとは光ファイバーケーブルや同軸ケーブルなどを用いて、インターネット接続や電話サービス、テレビ放送などの提供を行っているサービスです。

また、現在は少なくなっている契約とはなりますが、ADSL回線をご使用になられている場合もあります。ADSLとは従来の電話回線を利用してインターネット通信をする方法となります。光回線と比べて通信速度が50Mbpsと遅く、周辺にある同回線の影響でノイズを起こしやすい性質がある為、インターネット通信に影響が出やすいという側面があります。NTTのフレッツADSLのサービス提供は2023年1月31日をもって終了するという発表がされており、光回線が普及してきたことが大きな要因であるとも言われています。

ここまで記載してきた通りインターネット回線だけをとっても、様々な光回線やサービスがあることが分かります。各サービス共に提供しているエリアに差がございますので移転先に現状使用しているサービスが使用出来るのか事前確認が必要です。

現状の契約確認は、契約した当初の契約書や毎月の請求書を見れば確認することが出来ます。移転前に詳細な契約内容を把握しておくことをお勧め致します。



電話番号の継続利用が可能かどうか

次に確認しておきたいポイントは現在使用している電話番号を継続して使用出来るかどうかという点です。近くに移転するだけだからと安易に考えてはいけません。

フレッツ光のひかり電話を使用しているとした場合ですが、同じフレッツ光だから問題ないと考えがちです。しかし、必ず継続利用が出来るとは限りません。

電話番号はNTT基地局で管理しており、たとえ近くに移転するだけとはいっても基地局が違うとなっただけで継続利用が出来ない場合がございます。いざ移転先を決めたけれども、実は電話番号の継続利用が出来なかったといったことを耳にしますので注意が必要です。

また、現在使用している光回線サービスを移転に伴って他社サービスへ変更を考えているといった場合も注意が必要です。電話番号を他のキャリアに引き続き、継続的に利用が出来るようにしたサービスを番号ポータビリティと言います。この番号ポータビリティというサービスも出来る場合と出来ない場合があります。

一例とはなりますが、NTTひかり電話を光コラボレーション事業者のひかり電話に変更した場合や光コラボレーション事業者同士の変更時には番号ポータビリティが活用出来、継続して番号を使用することが出来ます。

逆に出来ない場合はNTTひかり電話で取得したひかり電話専用番号を他社サービスの光電話へ移行した場合などです。他にも様々なケースが考えられますので、現在使用している番号が継続して使用出来るかを移転前に契約している電話会社に問い合わせて確認してみましょう。

仮に電話番号が変わるとなると企業にとってはホームページや名刺など様々な部分で変更を行う作業が増えてしまいますので、細心の注意を払いたい所です。



移転時期の確定

今までお伝えしてきた内容も非常に大切ですが、ここが一番重要かもしれません。それは事務所移転時の工事依頼は早めの準備が大切であるということです。

インターネット回線や電話回線の移設には早くても数週間以上の期間が必要となるケースがほとんどです。場合によっては、1か月以上工事手配に時間がかかってしまうケースも多々ございます。今やインターネットを使用していない企業はごく少数になっていますので、移設先ではすぐに使用出来ないと困るといった企業が多いでしょう。

移転の準備やら打ち合わせやらで、ついつい後回しになってしまうことが多いですが、業務を行う上で必要不可欠なツールとなっておりますので、早めの手続きを行うことが大切です。依頼先はNTTを始めたとした各事業者となりますので、数ヶ月前から契約している事業者に相談を行って頂くことをお勧めします。

本日のまとめ

事務所移転は企業にとって毎月あるようなものではありませんので、そこまで意識が向かない部分が多いはずです。しかし、インターネットや電話が使用出来なくなっただけで多くの機会損失が出てしまうということは容易に考えられます。

だからこそ、細心の注意を払い移転の準備が進められるよう、普段から相談が出来る事業者を選定していくことも大切かもしれません。