未来人が作ったサイエンス・ノンフィクション世界

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

月面着陸という人類の大きな夢が叶ったのは1969年のアポロ11号計画によるものです。

「地球は青かった」で有名なガガーリンが人類で初めて宇宙に出た1961年。それから10年足らずでアポロ11号はニール・アームストロングとバズ・オルドリンを月へと運びました。今年でちょうど60年です。

わたしが生まれてくるずっと前のことです。わたしたちが生まれてくるずっと前、「月に行く」ということはSFの世界の話で、夢物語でした。

SFの父といわれるジュール・ヴェルヌの「From the Earth to the Moon」(月世界旅行)が刊行されたのは1865年です。SFとして夢想された宇宙への進出および月面着陸は、たったの100年で成し遂げられました。

SFとは、「Science Fiction」の略称であり、日本では「空想科学」とも言われます。「フィクション」であり「空想」なのです。それでも、科学技術のめざましい発展はそれを100年で現実にしました。

人類は月に降り立つし、サイバー戦争は現実になり、ロボットやAIは社会に溶け込み始めています。

本日はそんな、かつてフィクションと呼ばれたSF技術のお話です。


スタートレックが見た300年後の30年

携帯電話の歴史は結構古く、広く見れば1940年のトランシーバーまでさかのぼります。

第二次世界大戦中に米軍が使用した携帯型のトランシーバー「Walkie Talkie」は、従来のものと比べ小型で、バッテリーで動くため、携帯することができました。これが携帯電話の前身と言われています。

いまでこそ多機能を備えた携帯電話ですが、はじめは「持ち運びができる電話機」として考案されたのが最初ですから、要はトランシーバーと大した差はないわけです。

しかしトランシーバーを思い浮かべてみても、携帯電話とは似ても似つかないですよね。(なお、ここでいう携帯電話とはいわゆる「ガラケー」を指します)トランシーバーから今知られる携帯電話の形へと進化していく過程で、もっとも障害となったのがその小型化でした。

長く車やバイクに搭載するものとして利用された携帯電話は、1983年に「Walkie Talkie」を販売したモトローラによって世界で初めて手持ちできるものになりました。

日本で初めて発表された携帯電話は1985年にNTTより発売された「ショルダーホン」です。重量3キログラムの大きなそれは、バブル時代の幕開けを感じさせます。

さて、前置きが長くなりましたがスマホを含む「携帯電話」は技術の進化の最先端を行くアイテムです。持っていない人を探す方が難しいですよね。

1966年放送「スタートレック」の船長、カーク船長はそんな超便利アイテムを50年も前から使っています。

いずれガラケーと呼ばれるようになる折り畳み式の携帯電話が発売されたのは1996年、スタートレックから30年後のことです。

スタートレックの舞台は23世紀の銀河系です。23世紀…、つまり放送当時から300年ほど後の世界です。23世紀の世界はどういう風になっているのでしょうか。想像できますか?少なくとも、携帯電話は当たり前に普及しているわけです。いや、もしかしたら携帯電話に代わるもっとすごい技術が発展しているかもしれません。

それくらい未来でなら、きっとこの小型の端末(作中ではコミュニケーターと呼ばれていましたね)もあるだろう、と作者は思ったのでしょう。

実際はたったの30年でした。1/10年です。スタートレックから30年、初めての折り畳み式携帯電話は「StarTAC」と名付けられ、世界的なヒットを記録しました。

繰り返しになりますが、携帯電話は時代を象徴する圧倒的な技術力です。時代の最先端にまでなったポップカルチャー「スマートフォン」ですが、スタートレックがなければもっと発売は遅れていたかもしれませんし、デザインももっと無骨で、今でもアンテナが立っているかもしれません。

レイア姫のホログラムを現実へ

先にスタートレックを上げましたが、SF映画といえば何を思い浮かべますか?

ブレードランナー?マトリックス?禁断の惑星?バック・トゥ・ザ・フューチャー?それともスター・ウォーズですか?

ジョージ・ルーカス監督の名作、スター・ウォーズシリーズはSF映画を代表する長編シリーズです。舞台は遠い未来の銀河系で、人間やヒューマノイド、ロボットが共存しています。

その1作目、ロボットであるR2-D2がレイア姫を空中に立体的に映し出すシーンは有名ですから、記憶にある人も多いでしょう。SFファンだけでなく多くの人間が胸を高鳴らせ、実現を期待するあの「レイア姫のホログラム」シーンですが、まだまだ実現には届いていません。

しかし、近しいところまでは近づいているのではないでしょうか。

大ブームになった「ポケモンGO」はARという技術を利用しています。日本語で「拡張現実」と言われ、現実にバーチャルな視覚情報を重ね、現実を仮想的に拡張する技術です。

YouTubeではバーチャルユーチューバーが活躍し、VOCALOIDやゲーム・アニメのライブでは3D映像がステージで踊り、観客に手を振ります。

かなり、かなり近くないですか?

実際に3Dバーチャルライブに参加したことがありますが、ステージ上に映し出されたキャラクターたちは本当にそこに“いる”かのように見えます。

「360度どこから見ても立体としてそこにいる」といったレイア姫のようなホログラムの技術はまだまだですが、近い未来に実現するかもしれない、とそう思えるほどに3Dのバーチャルライブの完成度は高くなっています。

現実には存在しないキャラクターたちが目の前に立体で映し出され、目の前で手を振ってくれる、ファンサしてくれる、なんて考えたらなんだかどきどきしてしまいます。

あるいは、ホログラムを通して友達や家族と顔を合わせて会話することができるようになるかもしれません。

SF世界への第一歩

近未来が舞台のSF映画で欠かせないのは、なんといっても空中に現れるホログラムのディスプレイです。ホログラムディスプレイを軽快に操作する姿に憧れる少年少女は後を絶ちません。

SF映画だけでなく、アニメや小説でもしばしばそういった描写がみられます。人気テレビ番組「逃走中」でも、ゲームを運営するキャラクターが空中のホログラムディスプレイを操作してミッションを発動するシーンがあります。あれ、格好いいですよね。大人になった今でも憧れちゃいます。

いたるところでタッチディスプレイが利用されています。このコロナ禍で目指されるようになった「非接触」ですが、もしもこのホログラムディスプレイとその操作が可能になれば、その可能性はさらに広がっていきます。

10月5日、シャープが「静電ホバータッチディスプレイ」を発表しました。直接画面を指で触ることなく、タッチディスプレイを操作することが可能としたこの開発は、このコロナ禍で目指された非接触を限りなく可能にします。

中国ではちょうど1年前からホログラムディスプレイを利用した非接触型の製品がリリースされ、特に人の出入りが多いエレベーター等で利用されているようです。

夢に見たホログラムディスプレイは、もう現実です。

そのうちスマートフォンだってさらに小型化され、そこから投影されるホログラムディスプレイになるかもしれませんね。

本日のまとめ

わたしたちが夢見たサイエンスフィクションの世界は、すぐそこまで来ています。

鉄の塊が海を渡り空を飛び、そして宇宙まで行く時代です。いまさら何が起きたって不思議ではないのです。

ジュール・ヴェルヌの名言に「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」というものがあります。

はじめはただの妄想だったかもしれません。しかしその妄想に憧れ、実現を追い求めた人がいるからこそ、それらは実現していきます。

SF作品に出てくるたくさんの創造物は、絶対にいつか実現できるという強い確信をもって描写されています。これは本当に近い未来の現実なんだと、ただの夢物語ではないんだと、創作者は期待をもってこの世に送り出しているのです。

読む側からすれば、すべてが「あり得ない」けれど、現実だったらどんなに便利で素敵なものなんだろう。そんな、かつてSFとして夢想されたことたちを、未来人であるわたしたちがノンフィクションへと塗り替えています。

不本意ながら、コロナ禍で科学技術はめざましい成長を続けています。かつて人類が憧れたSF世界に、いまわたしたちは生きています。そしてこれからも、わたしたちが想像し憧れれば憧れるほど、それはさまざまなかたちで実現していくのでしょう。

大きな夢だって、いつかは夢ではなくなります。期待を込めて、いつでも夢はでっかくいたいですね。

<参考サイト>

年代流行

logmi Biz

価格.COMマガジン

ポチッと!指先ひとつでお買い物時代

おはようございます。情報セキュリティ情報センターです。

日本に通信販売が誕生してから145年が経つそうです。その媒体は雑誌やカタログからはじまり、はがき、チラシ、そしてテレビやラジオを経て、インターネットのウェブサイトへと形を変えています。

コロナ禍で外出が随分と減りましたよね。その分、インターネットで買い物をすることが増えたのではないでしょうか。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング。誰しもが1度は利用したことがあるかと思います。

わたしも何度も利用しています。今住んでいるところはスーパーが遠いので、食料品なんかも通販で頼みがちです。

家にいるだけでほしいものが手に入るんですから、それは便利なんですよね。例えばお酒やお米をスーパーで購入して、車で家まで帰ってきて、重たい荷物をもってアパートの階段を上るくらいなら、家で購入して玄関の前(ないし宅配ボックス等)まで持ってきてくれた方が楽ですし、その分、別のことに時間を使えます。

インターネットスラングに、インターネット通販で物を購入することを指して「ポチる」という言葉があります。スイッチやボタンを押すときの「ポチッ」という擬音語からできた言葉で、「購入」ボタンを押すことにちなんでいます。

ポチッ…と押すだけで、購入が完了してしまうんです。通販は、145年でそれくらい気軽なものになりました。

通販とは少し違いますが、今や賃貸契約なんかもオンラインですべてできます。

食料品や日用雑貨といった小さなものだけでなく、高額なものも「ポチッ」と契約ができてしまうんです。

本日はそんな、通販のお話です。

ニューノーマルな「ポチる」

通信販売の歴史は145年ほど前、1876年に農業雑誌でトウモロコシの種が販売されたのが始まりと言われています。その背景には、1871年に始まった郵便制度があるでしょう。インフラが整うことで、これまでになかったことができるようになりました。

その媒体はカタログやチラシへと広がり、ラジオやテレビが普及すればラジオショッピングやテレビショッピングへと拡大していきます。こうして通販の市場は広がり、平成初期には市場が2兆円を超ました。

そして1995年、Windows95が日本で発売されたことにより一般家庭に急速にインターネットが普及し、同時にインターネット通販も急速に広がります。大手メーカーが次々と通販に参入し、さらにAmazonや楽天といったECショッピングモール、オークションサイトやフリーマーケットサイトと、さまざまなかたちに広がっていきました。

今や当たり前の「通販」は、時代に合わせて進化した技術やシステムが作りあげた新しい常識なのです。ニューノーマルというほど新しいものでもないですが、それでも長い目で見ればニューノーマルと言えなくもないでしょう。150年前の人類には、想像もつかない「お買い物」の形です。

なにか欲しいものがあるとき、支度をして家を出て、目的のものが売っているお店に行って、それを購入して家に帰る、という当たり前のことが、「ポチッ」で完了してしまいます。まったく便利な世の中です。

メディアショウウィンドウ

NBAのスター選手マイケル・ジョーダンにちなんだナイキのバスケットシューズ、「エアジョーダン」のシリーズは、その人気ぶりに奪い合いで殺人事件が起きています。発売日には暴動が起きるほど人気のこのシリーズは、マイケル・ジョーダンというインフルエンサーにちなんだものだからこそ、ここまでの人気を博しています。

インターネットが生活に密接している今、そういったインフルエンサー影響力はかなり大きいものとなっています。ここまでインターネット販売が当たり前になった背景に、そういったインフルエンサーの存在もあるでしょう。

「インスタ映え」なんて言葉もありますし、その商品を使った「映え」な写真がSNSで「バズ」れば、売り上げが上がること間違いなし!なわけです。

また、YouTuberとのタイアップといった宣伝もメジャーになりつつありますよね。

家で見ていた好きなYouTuberのおすすめしていたスイーツ、わたしも食べてみたい!と思っても、店舗が近くになかったり、夕方に行ったらもう売り切れていたり。通販を使えばそんな思いをしなくてもいいですし、なによりも購買意欲が最も高い時に「ポチッ」と買うことができてしまいます。

また、広がる宣伝はインフルエンサーだけに限りません。

このコロナ禍で外出が減り、観光地や飲食業は不況のあおりを大きく受けました。学校がなくなりたくさんの牛乳が余りました。そんな中で、SNSで発信されたSOSがいくつもあります。

牛乳が余っているから買ってほしい、毎日売り切れていた商品が余ってしまったから半額で通販します、そんなSOSです。

わたしはずっと気になっていた京都の有名な甘味処のお餅をこの機会に「ポチ」りましたし、拡散された牛乳消費レシピで見たラッシーをたくさん飲みました。(どちらもとてもおいしかったです!)

雑誌の文言から始まった通販ですが、カタログやチラシ、テレビ、あるいはHPといったマスメディアを使うことによって、より効果的に商品を紹介することが可能になりました。

通販の大きなネックは、現物を見ることができないことです。しかし視覚的な情報は、文章だけの宣伝よりはずっと効果的な判断材料になります。

そこにインフルエンサーが実際に使用した感想や意見が重なれば、さらに購入のハードルは下がっていきます。

今やマスメディア全体があらゆるもののショウウィンドウになっているのです。

GenZ世代への車

10月4日、日本を誇る大手自動車メーカー「ホンダ」がオンラインストアを開設しました。商談、見積もり、査定、契約がオンライン上ですべて可能になりました。

画像:Honda on 公式webサイト

………車がです。信じられますか?

食料品や日用雑貨の通販とはわけが違います。たしかに、通販で何万とするものを購入することはありますが、それでも桁が違います。それほどまでに、“オンライン”化というのは進んでいます。

今回開設された「Honda ON」では、スマートフォンで見ることが想定されたUIに、SNS上でのリアルタイム口コミを集めたUGCの表示など、現代的なサイトの作りとなっています。

また、今回のオンラインストアでは新車の「サブスクリプションサービス」の契約が始まり、
人々の意識が「所有」より「利用」を求めている現代に適応しています。

オンライン化にサブスク化と、車離れの激しい若者、特にGeneration Z(Z世代)への意識が感じられます。

まさにZ世代であるわたしは、オンラインですべてできることも、購入ではなくサブスク契約であることも、従来のものよりずっと魅力的に感じます。

もちろんこれは人それぞれですから、直接話が聞きたいよ、とか、いやいや車は所有したいでしょ、とか、同じZ世代にもたくさんいるかと思います。それでも、対象の幅は大きく広がったのではないでしょうか。

本日のまとめ

車のオンラインストアがはたして通販なのかと言われると、少し首をかしげてしまいます。しかしインターネット上で購入手続きをするわけですから、間違っていないはずです。ただ、「車の通販」に馴染みがないだけで。

いずれこれがスタンダードになる未来があるかもしれません。車だけに限らず、です。

冒頭でも挙げましたが、賃貸契約もオンライン上で済んでしまう時代です。今住んでいる家の契約をした際は、鍵を受け取りに行くときにはじめてお店に行き、担当者さんの名刺をいただきました。

考えてみれば、車に同じことができるのはなにもおかしいことではないんですよね。

このコロナ禍で大きく見直された「オンライン化」ですが、その真価はコロナ禍だからにとどまりません。

我々の常識は少しずつ「デジタル」で「オンライン」へと塗り替わっていきます。

デジタルパイオニアと言われるミレニアル世代と、デジタルネイティブと言われるZ世代がそのほとんどを占める社会はすぐに来ます。自分はネイティブだからとうつつを抜かさず、常に時代の進化に柔軟に対応していきたいものです。



<参考サイト>

HONDA公式webサイト

KINTO ONE

HONDA ON

INPRESS BUSINESS MEDIA

Cyber security for All 誰も取り残さないサイバーセキュリティ

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

9月の終わり、首相官邸でサイバーセキュリティ戦略本部が開かれ、次期「サイバーセキュリティ戦略」が決定されました。2015年に内閣で定められ、3年ごとに戦略を更新していくものです。

7年目となる今年、「Cybersecurity for All ~誰も取り残さないサイバーセキュリティ~」をコンセプトに、「自由、公正かつ安全なサイバー空間」の確保を目標とする戦略案が公表されました。

さて、難しい話から入ってしまいました。

みなさんは、サイバーセキュリティといわれたらなにを思い浮かべるでしょうか?ウイルス対策ソフトとか…複雑なパスワードを設定するだとか…そんな漠然としたイメージはあるものの、具体的に説明するとなると言葉に詰まってしまうのではないでしょうか。

テストで40点くらいの答えは出せるんですけど、100点満点となるとなかなか難しい…。

デジタル化、IT化、DX、この世界の技術が進めば進むほど、漠然とした「40点程度はわかる」ものが増えていくような気がします。実際、40点程度あれば十分機能してしまうのも、技術が進んだ結果なんですよね。

本日は、そんな漠然としたサイバーセキュリティとその戦略についてお話しします。

70点のサイバーセキュリティ

そもそも、サイバーセキュリティと言われて100点満点の答えを出せる人はいますか?

 「サイバーセキュリティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。

サイバーセキュリティ基本法

これが100点満点です。まぁ、今すぐ100点を取る必要はありません。理解できていればそれで大丈夫です。

本日のお話は、だいたい60~70点が取れるようになるのを目標とします。

サイバーセキュリティとは、要約すれば「知覚で認識することが不可能な方法で、情報が漏洩しないように、防止および情報の管理に必要な措置がされており、その状態が適切に維持管理されている」ことを言います。

う~ん、ぎりぎり70点…!

ともかく、「サイバー攻撃から情報を守る体制」のことです。定義はそんな認識でいいんじゃないでしょうか。

ではなにが正しいサイバーセキュリティなのか、大事なのはそこです。

2021年からの3つの方向性

サイバーセキュリティ戦略では、目標である「自由、公正かつ安全なサイバー空間」を確保するため、今後3年間の方向性を提示しています。

サイバー空間とは、グローバルな拡張・発展を遂げ、国境を越えて質・量ともに多種多様な情報・データを自由に生成・共有・分析することが可能かつ流通する場、つまり、わたしたちを当たり前のようにとりまくインターネットの世界のことです。

(1)デジタル改革を踏まえたデジタルトランスフォーメーションとサイバーセキュリティの同時推進

(2)公共空間化と相互連関・連鎖が進展するサイバー空間全体を俯瞰した安全・安心の確保

(3)安全保障の観点からの取組強化

以上の3つはそれぞれ「経済社会の活力の向上及び持続的発展」、「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現」、「国際社会の平和・安定及び我が国の安全保障」に向けた取り組みに対応するものですが、もちろんすべて意識されるべきことです。

それぞれざっくり、70点を目指して解説します。

DX with Cybersecurity

(1)デジタル改革を踏まえたデジタルトランスフォーメーションとサイバーセキュリティの同時推進

今年9月、デジタル後進国と言われる日本にようやく「デジタル庁」が設置されました。今まさに日本がデジタル化を大きくすすめる絶好の機会です。

デジタル化が進めば進むほど、サイバーセキュリティの重要度は増していきます。デジタルトランスフォーメーション、DXが推奨されている今、デジタル投資とセキュリティ対策は同時に進行していかなければなりません。

DXが進めば進むほどサイバー空間に強く結びついていきます。人々の生活を革新的に、豊かにより良い方向へと変化するために行われるDXですが、そこに結びついたサイバー空間に穴があっては意味がありません。逆に、セキュリティを強めたサイバー空間だけがあっても、そこに結びつくものがなければ意味ないですよね。

例えば、たくさんの物(情報)を大きな箱(サイバー空間)に入れられるシステム(DX)があっても、その箱に穴が開いていれば使えませんし、逆にたとえ頑丈な箱があっても、その箱を開ける術がなければただのがらくたですよね。………こんな感じです。なんとなくわかりますでしょうか?

「経済社会の活力の向上及び持続的発展」のために、DXは必要不可欠です。DXの推進のために、サイバーセキュリティも必要不可欠なわけです。

モノのインターネット時代

(2)公共空間化と相互連関・連鎖が進展するサイバー空間全体を俯瞰した安全・安心の確保

「連接融合情報社会」という言葉があります。IoT(Internet of Things)、「モノのインターネット」という言葉が身近になった現代で、あらゆるモノがインターネットに接続され、実空間とサイバー空間が高度に融合した社会を指す言葉です。

サイバー空間は社会の中に溶け込んでいます。サイバー空間を基盤として処理されるものが、この世にはあふれています。

つまり、「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現」における「社会」というのは、実空間とサイバー空間の両方を含むわけです。

サイバー攻撃は大きいものから小さいものまで毎日ひっきりなしに行われ、被害は1日に1万件以上と言われています。サイバー攻撃は、簡単に言ってしまえばパソコンやスマートフォン端末という他人のプライベート空間に侵入し、なにかしら価値のあるものを盗むような行為です。実空間で他人の家に侵入し、金品を盗むことは立派な犯罪ですよね。それが1日1万件も行われていたらとてもじゃないですが安全安心とは言えません。

サイバー攻撃の脅威は増す一方で、経済社会が抱える脆弱性が顕在化しています。サイバー空間を実空間と変わらず「公共空間」とし、安心・安全を確保していかなければいけません。

そのために、国、企業といった組織単位ではなく、一人一人が意識し、国一丸となってシームレスな対処態勢が必要です。

目に見えない戦争、目に見えない戦場

(3)安全保障の観点からの取組強化

サイバー空間は陸、海、空、宇宙に次ぐ5つ目の戦場となりつつあります。

先に挙げましたサイバー攻撃の例は、あくまで個人及び小組織を想定した例え話でしたが、国家がその対象になることだってもちろんあります。

かつてはSFと呼ばれ架空の存在だった「サイバー戦争」は、すでに現実のものになっています。映画や小説のようなフィクションだったら娯楽ですが、現実ではれっきとした戦争であり、国を脅かすものです。

サイバーセキュリティ戦略では、中国、ロシア、北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃が増えたと明記されました。

サイバー攻撃は目に見えない攻撃です。その戦場も目に見えません。言ってしまえば、その戦果も、失ったものも、目に見えないのです。

目に見えないだけで、戦火はわたしたちの頭上を飛び交っています。

「国際社会の平和・安定及び我が国の安全保障」のために、純粋な武力だけではなく、サイバー攻撃に対する防衛力や抑止力が求められる時代になっています。

本日のまとめ

なんだか信じられないですよね。数十年前、サイバー攻撃は確かにフィクション上の娯楽だったはずです。

目に見えないからこそなんとなくでしか意識できません。しかし目に見えないからこそ怖いんです。

あ、そうそう、最後にこちらのサイトをご紹介します。

CYBERTHREAT REAL-TIME

https://cybermap.kaspersky.com/ja

サイバー攻撃をリアルタイムで見ることができます。

目に見えない攻撃は進化し、激化しています。それでも、目に見えない攻撃を目に見えるようにする技術も進化しているのです。

この国のこれからのサイバーセキュリティ、なんとなくわかりましたでしょうか?

冒頭でも言いました、100点の回答はなかなか難しいです。もちろん、全員が満点取れるくらい理解していればセキュリティはぐっと高まります。だからといっていきなり難しいこと言われてもピンとこないから難しいんですよね。

少しずつ、少しずつ学んでいきましょう。40点の知識を60点に、70点に。もちろんわたしも勉強中ですから、一緒に学んでいきましょうね。

見えないサイバー空間も、きっと少しずつ見えるようになります。そのお力になれれば幸いです。

<参考サイト>

NISC(サイバーセキュリティ戦略)

日本経済新聞

e-GOV(法令検索)

メールにまつわるあれやそれ、法律で決められてるって知ってますか?

おはようございます。情報セキュリティ相談センターです。

今朝は何件メールが来ていましたか?

わたしは16件きていました。そのうち15件が迷惑メールです。

まぁ迷惑メールとは言っても、どこかしらで登録したサイトの広告ですから、厳密にいえば迷惑メールではありませんが、気持ち的にはとっても迷惑です。

こまめに配信停止にしても、新しくなにかを購入すればまたそのショップからのメールマガジンが届く…「配信を希望する」のチェックを外し忘れただけなのに~~!

実際、メールマガジンで紹介された商品を買うことも少なくないので、完全に迷惑かと言われればそうでもないような…。そんなこんなで、どんどん広告メールは溜まっていきます。

広告メールって敬遠されがちですし、意味がないように見えてその実、わたしみたいなつられて買っちゃうような人がいるから相手も送ってくるわけですし、まったく無意味なものではありませんよね。

しかし、そのメール、本当の意味で「迷惑メール」になってませんか?

むやみやたらに送ればいいってものではありません。メールの利用にもきちんとルールが定められています。

本日は、メールにまつわる法律についてお話ししたいと思います。

迷惑メール防止法 オプトイン/オプトアウト

冒頭でお話ししました、「広告メール」か「迷惑メール」かの境界線となるものに、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」というものがあります。通称「迷惑メール防止法」といわれるものですね。2002年に制定され、2005年、2008年に改正を重ね、広告メールおよび迷惑メールの制限を定めています。

2008年の改正で最も特徴的なものがオプトイン方式の導入です。
このオプトイン規制に則っているかいないかによって、広告メールなのか迷惑メールなのかに振り分けられます。

オプトイン方式とは、あらかじめメールの送信の同意を得た相手に対してのみ広告メールの送信を許可する方式です。

何かしらのサイトに登録する際、よくでてきますよね、「配信を希望する」のチェックボックス。

これにチェックが入っていれば、送信に同意するということになります。

また、受信者がメールの送信を同意(オプトイン)した記録も残す必要があります。

わたしが迷惑と思っていたメールは、そのほとんどが合法広告メールなわけです。こまめにオプトアウトしないとですね…

そう、オプトインの対義語にオプトアウトという言葉があります。広告メールを許可なく送信すること、あるいは広告メールの受信を拒否することを指します。

送られてくる広告メールにも、「配信停止はこちら」なんてリンクが貼られていますよね。このリンクも、法律で定められているんです。

メールを送信することがたとえ合法だったとしても、内容によっては違反になることがあります。それこそ、オプトアウトの案内の表示がない…とかね。

迷惑メール防止法では、広告メールの送信の際に義務として表示するものが定められています。

先に挙げたオプトアウトの案内だけでなく、送信者の氏名または名称、そして住所、問い合わせ先、電話番号やアドレス、URLといった送信者の情報など。

送られてきたメール、あるいは送っているメール、きちんとこれらの情報を満たしていますか?


迷惑メール防止法 偽装メール

迷惑メール防止法では送信者およびの偽装も禁止されています。

なりすましメールに当たりますからね、そもそも当たり前の話ではあります。

当たり前の話なのに、当たり前のように横行しているのが現状です。

送信元のアドレスをなりすましたり、そもそもアドレスを表示しないように設定したり…。

これらを禁止した「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案」の改正が2005年に改正されているということは、すでに15年以上前から違法な迷惑メールは横行しているということになります。

このスパムメールと呼ばれる迷惑メールのほとんどが送信者を偽装して送られるものであり、つまりほとんどが違法なわけですが、15年たってもいまだ改善されません。

むしろ悪化する一方で、現在はコミュニケーションチャットツールやSNSなどでも広がっています。SNS上で仲良くしていたアカウントが突然サングラスの広告をbotのように流し始めた…なんて経験はありませんか?サングラスならまだましです。ダイレクトメッセージでアダルトサイトのリンクをばら撒くなんて事例もありました。

禁止であることが当たり前なはずのに、横行しすぎて存在が当たり前になってしまっているスパムですが、もちろん法律違反ですから、罰則があります。

当たり前に存在していても、1年以下の懲役または3000万円以下の罰金措置です。かつて100万以下だったものが、大幅に引き上げられた金額です。3000万円ですよ。洒落にならないですよ!それでもなくならないのが現状なんですけどね…。

なにはともあれ、偽装されたメールおよびスパムの横行は減っていないのが事実です。わたしたちにできるのはそこから被害が出ないようにすることでしょう。

思い当たらないメールのリンクを踏んではいけません。開くことすらちょっと危ないかも。でも開くまでそれが偽装か否かなんてわからないし。だからこそ、有益だろうとなんだろうと広告メールは迷惑がられるんですよね。

迷惑メールと広告メールの見分けが付けられる大人になりたいですね。

不幸のメール

そうそう、主題とは多少ずれますが、メールといえば「不幸のメール」なんてのがありますよね。

プライベートでメールをほとんど使わなくなりましたし、連絡先の相手もわたしもさすがにいい年ですからしばらく見ていませんが、今も学生の間ではまわっているのでしょうか。思い出すとなんだかノスタルジックな気持ちになっちゃいます。

「チェーンメール」と呼ばれるこの手のメールも、迷惑メール、スパムメールに分類されます。はじめてその存在を知った小学6年生のわたしは、びびって馬鹿正直に指定人数分転送したのを覚えています。母親にしこたま叱られましたし、学年全体で指導されました。

連絡手段がLINEになっても、数回送られてきました。妹から送られてきたときには微笑ましいものでしたが、内容によってはそんな可愛らしいものでもありません。

ではチェーンメールが犯罪なのかというと、なかなか難しい話です。たとえば、「〇人に転送しないと殺しに行くぞ」なんて文面でしたら、強要罪に当てはまることがありますし、騙すような書き方でなにかしらの商品を売りつけようというような内容でしたら詐欺罪です。

「佐賀銀行がつぶれる」という内容のチェーンメールを流した人が信用毀損罪に問われた例もあります。

実際に事件になっているわけですから、可愛らしいなんて言葉で片づけていいものではありません。

スパムと同様に、メールだけでなくコミュニケーションチャットツールやSNSでも類似したものが出回っています。もちろん、中には全く問題ないものがたくさんあります。「見た人は全員やる」なんてハッシュタグを使って好きな音楽を共有したりとかね。

コミュニケーションが手軽で容易になった現代で、良いことと悪いことの境界線を曖昧にしないように気を付けなければいけませんね。

本日のまとめ

冒頭でも言いましたが、わたしはわりと広告で見た物を買います。広告メールは有用な営業商法と言えるでしょう。しかし、むやみやたらに送っていいものではありません。きちんと決められたルールがあります。

やってはいけないこと、いいこと、なんとなくわかっているような気がしていませんか?

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」なんていわれてもピンときませんが、強要罪や詐欺罪と言われれば、途端に現実味を帯びてきませんか?前者も、現実的なものとして意識しなければいけません。

チェーンメールのように子供じみていても、迷惑メールに通ずるものです。若かりし頃、わたしのように転送してしまって親や学校に叱られた経験がある人だって少なくないはずです。あのときは漠然とダメなものだと思っていたことが、明確に文章にされています。

あのときよりもリテラシーのある大人になれていますか?若かったな~なんてノスタルジーに浸って、ついでに今一度、用意されている規則を確認してみてくださいね。


<参考サイト>

総務省 国民のための情報セキュリティサイト

総務省 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント

一般社団法人日本データ通信協会

シェアしたくなる法律相談所

DXって?デジタルトランスフォーメーションの手引き

おはようございます。小江戸情報セキュリティ相談センターです。

突然ですが、みなさんは初めて切符を買った日を覚えていますか?

わたしは小学二年生の遠足の時、はじめて自分で切符を買って電車に乗る経験をしました。(田舎出身なので…)

では、最後に切符を買った日は?覚えていますか?

自動改札が当たり前になり、ICカードでの乗車が当たり前になり、切符を買う機会はめっきり減ったのではないでしょうか。

今や新幹線の予約すらネット上で可能になり、券売機に並ぶ列を見ることも少なくなりました。

切符の購入に特に難しいことはありません。お金を入れてボタンを押すだけのことです。小学二年生でもできます。

しかし、交通ICカードおよびモバイルICカードの普及で、電車の利用は以前より便利でスムーズになりました。

デジタル化よって人々の生活は便利で豊かなものへとみるみるうちに進化していきます。

IT技術の浸透で人々の生活を豊かにすることをDXと言います。

「DX」この言葉、ご存じですか?デラックスではありません。
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)です。

本日は、今推進されているDX、「デジタルによる変化・変革」についてお話しします。

DXって?

現代において、あらゆるもののデジタル化は当たり前のことになっています。いつどこでなにがデジタル化、オンライン化してもおかしくありません。

先に挙げましたモバイルICカード、ファストフード店のモバイルオーダー、授業のオンライン化。大型デジタルサイネージなんかも話題になりましたよね。

美容院でも、雑誌ではなく複数の雑誌が収録されたタブレット端末が渡されるようになりました。

あらゆる企業で、勤務管理や販売管理はソフトウェアを用いて行われます。導入直後こそ戸惑ったかもしれませんが、慣れてしまえばアナログ的手法と比べはるかに便利で効率が良くなったのではないでしょうか。企業だけでなく、学校の出席もインターネットやカードを利用して記録されることが増えました。点呼し記帳する時間を省けば、その分授業をする時間が増えます。

デジタル化することによる利点が、変化に適応しなければならない億劫さに勝る時代です。

現代の若い方はデジタルやインターネットが当たり前の世代ではありますが、現代ではもう「デジタルでスマート」という言葉は若者の特権ではないのです。

そうして次から次へとデジタル化が進み、より便利でより効率よくなっていく・・・それこそがDX、というわけでもないんです。同じようなものではありますが、DXはより社会に影響を与えるものでなければいけません。

経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、DXは次のように定義されます。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」(引用元:経済産業省HP)

商品やサービスをデジタル化によって変化させるのではなく、それによって業務そのもの、企業文化・風土といった環境を変革していくことこそがDXなのです。

デジタル化によって業務そのものや企業文化を改変し、競争上の優位性を確立、つまり企業が安定するためのシステムをつくることが今、DXと呼ばれ推進されています。

企業だけでなく、人々の生活があらゆる面で革新的に、豊かに、より良い方向へと変化していくために、IT技術を活用していくという取り組みなのです。

結局、デジタル化とDXの区別は難しく曖昧なものではあるのですが、「切符を買わずともICカードで電車への乗車が可能になった」はデジタル化、「モバイルICカードの普及でチャージがスマホから可能であり、電子マネーとしても広範囲で利用できることから現金を持ち歩く必要がなくなった」のはDX、といったところでしょうか。

迫る2025年

2025年問題、2025年の崖、どうやら日本は2025年がひとつの分岐点になるようです。

2025年問題とは、超高齢者社会で生じる影響のことを指します。

そして2025年の崖とは、経済産業省の発表した「DXレポート」で使用された言葉で、DXを推進しないことで低下した業務効率・競争力による経済損失のことを指します。最大で年間12兆円もの損失が予想されており、それまでに経営面、人材面、技術面のいずれにしてもシステム刷新を集中的に推進する必要があります。

とはいえ、従来のシステムを新しくするというのは往々にして腰の重い話です。

コロナ禍で劇的に見直された働き方ですが、それまでテレワークを実施していた企業はどれほどのものだったのでしょうか?

日本でテレワークが推奨され始めたのは2010年後半と言われています。しかし実状は25%を下回る程度しか実施されていませんでした。それがこのコロナのあおりを受け、急速に普及していったのです。

コロナという脅威が目に見えたからこそ、そのメリットが浮き出てきて重たい腰も持ち上がったのでしょう。

現状、2025年の崖という脅威は目に見えているのでしょうか。

AIを利用した業務、自動運転の搭載された自動車、5Gに接続されるスマートフォン。

その一方で、Windows7が2020年にサポートを終了し、来年の頭には8.1のサポートも終了します。

IEも次第にEdgeへと移行されています。

アドビのFlash Playerのサポート終了のときも話題になりましたよね。

技術というものは次から次へと塗り替わっていきます。

…全部知ってるよ!って思いましたか?

では、2025年のIT人材不足は何人まで拡大するでしょうか

PSTN網、INS回線が終了したあとのこと、考えていますか?

サイバー攻撃はどこまで進化するのでしょうか

2025年の崖、ちゃんと見えていますか?

DXへのみち

みんななんだかんだなんとかなると思っています。なんだかんだなんとかなりませんよ。

DXレポートを要約すれば、

・経営層における既存システムの問題点の把握、改善案の不完全

・既存システム刷新の際、各関係者の果たすべき役割の不完全

・既存システム刷新の際、長期にわたり、大きなコストのかかることによるリスク

・ベンダー企業とユーザー企業の関係

・DX人材の不足

以上のことが現状、そして課題として挙げられています。

あー、なんだか面倒だな……なんて気持ちになってきませんか?

現状のままで問題ないし、大丈夫だろ、新しいこと覚えるのも面倒だし。

なーんて、ずるずるあとまわしにして、なんだかんだなんともならないまま2025年が来てしまう。

なんてことにならないように、きちんとDXしていかなければなりません。

しかし、ちゃんと2025年の崖を意識して!と言っても、目に見えないものを意識するのは難しいことです。

それを可視化するのもとても難しいことです。

人材が不足するなんて言われても、じゃあ具体的にどれくらい不足して、どう対処すればいいのかわからないですよね。

では、可視化するために何が一番大事なのでしょうか。

もっとも大事なことは、まず「知ること」です。

何度も繰り返してきましたが、みんななんとなくは認識しています。なんとなく、このままではいけないことはわかる、でもどうすればいいかはわからない。具体的な被害もないし、問題もないから。

ネットで調べれば、DXについての記事やサイトがたくさん出てきます。難しい言葉や知らない単語が出てくるかもしれませんが、わかるところもあるはずです。

わかるところから、わからないところは調べて、そしたらここがわかって、そうやって少しずつ知識を広げていけば、次第に「見えて」きます。

見えてくれば、どうすればいいのかもおのずと見えるようになるのではないでしょうか。



本日のまとめ

変化というのは、そのメリットとそれに適応する億劫さを比べた際に、メリットが勝ることで為されます。

適応するには知識が必要ですし、経験も必要です。

手動だった改札口が自動改札になったときも、切符がICカードになったときも、ICカードがスマホになったときも、はじめこそ戸惑いつつも次第にそれが当たり前になりました。新しいものの知識を付け、受け入れ、そして経験したからこそ便利であると「見えた」からです。

2025年なんてあっという間です。でもまだ間に合いますよ。

知識と経験ほど無駄にならないものもなかなかありませんし、これを機に、漠然とした2025年を知って、見て、DXを推し進めていきませんか。

変化して、適応して、変革されていく。それを繰り返した結果の「いま」です。

次々と変化していくその瞬間にいると考えたら、少しうきうきしちゃいますね。



<参考>

ワークフロー総研

経済産業省「DX推進ガイドライン

FUJITSU JOURNAL

経済産業省「DXレポート」

情報は資産たり得るか?現代における情報という名の財産とは

おはようございます。小江戸情報セキュリティ相談センターです。



なにかをするとき、まず何を用意しますか?


なにか?なにかってなに?具体的には?

なんでもいいんです。なにか、今あなたがしたいことでいいんです。

おいしいものが食べたいだとか、ゲームがしたいだとか、お出かけに行きたいだとか

なにをするにも、まずが必要ですよね。

それから、お金もの


人、物、金、この3つが「経営資源と呼ばれ、企業を形作り動かすための基本要素とされています。

人が働いて、物が動き、お金が支払われます。企業はそうして成り立っています。企業だけではありません、多くのものごとが、この3つで成り立っています。そしてその次に大事なものが情報です。

“情報”セキュリティ相談センターですから、本日は情報という名の財産についてお話しします。



そもそも情報って?

みなさんは今この記事をどんなデバイスで見ていますか?パソコン?スマホ?タブレット?

いずれにしても、今手にしているその便利な端末には膨大な情報がつまっていますよね。

秘密のSNSアカウントや、恥ずかしい検索履歴、気になっている人の画像がこっそり保存してあったり。

見られたくないものがたくさんつまっているのではないでしょうか。

友達にふとスマホをのぞき込まれ、恥ずかしいネタを知り合いに吹聴される…そんな経験はありますか?

そうした、「伝えられること、伝達できるものごと」の内容、データ、事実、知識、それらを「情報」といいます。



情報は資産たり得るか

 

先に挙げた例は、情報として伝達されたら恥ずかしくてとても嫌なことですが、あなた自身のことです。
あなたにやましいことさえなければ、特に問題はありません。
たとえやましいことがなくても、スマホを暴かれるのはなんとなく嫌ですけどね!

しかし、どんなにどうでもいいような情報だって、もしかしたら誰かにとってはものすごーーく価値のあるものかもしれませんよ。

あなたにとってはどうでもいい、ただの小さな子供の写真が、高値で売買されているかもしれません。

ものの価値というものは計り知れないのです。

IT技術が進化した現代では、従来紙で保存されていた膨大な情報をデジタルデータ化し保存、活用するのが当たり前になっています。それは、便利さと引き換えに高い危険性を持つようになりました。

紙のデータと違ってネットワーク上から窃取することが可能となった情報は、どんな些細なものでもサイバー攻撃の標的です。

どこかから手に入れたその些細な情報が、別の大きな情報が漏洩するきっかけになるかもしれません。

あなたの些細な情報が、鯛を釣るためのエビにされるかもしれませんよ。

冒頭で挙げましたが、人、物、金、これらは企業を形作り動かすための基本要素です。つまり、これらに関するすべての情報は、企業が動くための大事な大事な礎なわけです。

工場で製造される部品のデータがなければ製造はできませんし、営業相手のお客様の住所がわからなければ訪問できませんよね。

「経営資源」と「経営」をつなぐのが情報であり、「情報資産」と呼ばれます。

紙の書類からパソコンのハードディスク、USBやスマホ、どんなに些細なものでも、そこに詰まっているすべてが誰かにとっての貴重な情報であり、それは立派な資産なのです。

お金を金庫に入れるように、家に鍵を閉めるように、情報もきちんと守っていかなければいけません。



情報資産の守り方

では、具体的にどうやって情報を守ればいいのでしょうか。

まず第一に、情報の保存場所の「把握と管理」が大事になります。

情報ははどこに保存していますか?
パソコン?スマホ?タブレット?それともUSB?クラウドの中とか?

なにがどこに保存されているのかきちんと把握していますか?

あの資料はどこにあるんだっけ、あのデータはどこに保存したっけ?デスクトップにアイコンがたくさんあるなあ。…なんてことになっていませんか?

ファイルやデータはきちんとラベリングして、しかるべきところに保存しましょう。

一度サボるとあっという間に「なにかよくわからないけどたぶん重要なもの」が溜まっていきますよ。

きちんと整理していれば、管理もしやすく、必要な時にすぐに取り出すことができ、PC内もすっきり。整理整頓のできるスマートな大人になりましょうね。


では次に、その整理整頓されたデータ、使い終わったら?必要のなくなった情報、きちんと消去していますか?

管理とは、情報の入力から把握、そして消去までを含みます。

紙で保存されていた情報は、シュレッダーにかけますよね。デジタルデータもきちんとシュレッダーにかけなければいけません。シュレッダー、つまり完全な消去です。

大事な情報をきちんと整理整頓して保管していたパソコンを、入れ替えることになりました。

情報を移し、古いパソコンは廃棄されるわけですが、ちょっと待って!入っていたデータ、適切に処理しましたか?シュレッダーにかけましたか?

電子データの完全な消去は、シュレッダーにかけたり燃やしたりすればいい紙のデータと違い、保存形態によって異なります。

ハードディスクから消したから大丈夫!………もしUSBに残っていたら?CDやDVDに保存しなかった?

USBからも消したし、CDもDVDも破壊したから大丈夫!なんならパソコンも破壊すれば大丈夫。………あ、まって!その情報、クラウド上には保存してない?

…と、電子データの消去には気を付けなければいけないことが多岐にわたります。

情報をデジタルデータにし、保存・運用するのが当たり前の時代です。

そして、それを狙ったサイバー攻撃と、その被害が後を絶たない時代です。

どこから漏れたのかわからない、それでも一度漏れた情報は二度と消えません。

たとえ手間だろうとしっかりと管理することが大事な「資産」を守る近道です。



本日のまとめ

冒頭で言った通り、どんな些細な情報でも別の誰かにとってはものすごく価値のあるものになり得ます。

また、こと企業においてはどんなに些細なことだろうと「漏洩した」という事実はとても重たいものになります。

情報を守るために「管理」すること。それは基礎中の基礎です。しかしこの基礎ができずに被害にあう人がたくさんいるんです。

基礎をしっかりと理解すること、学ぶことが大事です。

また、社長や一部の人だけが理解していても意味がありません。

その情報を保存・閲覧・運用する人全員が理解し、注意することが必要です。誰か一人でもその意識がなければ、まったく意味のないものになってしまいます。

全員で意識して、全員で管理することがなによりも重要な守りとなります。

その手元の端末、情報は整理されていますか?消去すべき情報は残っていませんか?今一度、大切な情報が適切に管理されているか、見返してみてください。


<参考サイト>

法人セキュリティ対策マガジンアセット

JNSA

IPA「守るべき情報資産・情報リスクの考え方」

そのスマホ、大丈夫?便利で手軽な時代に潜むスマホの穴。多発するサイバー被害の紹介

おはようございます。小江戸情報セキュリティ相談センターです。

みなさんセキュリティ対策、していますでしょうか?

インターネットが当たり前になり、どんなことでもデジタルで済ませられる時代です。

通販やネットバンキング、ゲームへの課金など、スマホひとつで大金が簡単に動きます。

便利な時代ですね。わたしのスマホなんてお財布よりお金が入っています。

そんな大事なスマートフォンのセキュリティ、大丈夫ですか?

本日はスマートフォンをとりまく被害についてご紹介します。



情報セキュリティ10大脅威って?

引用元:IPA情報処理推進機構(情報セキュリティ10大脅威)

情報処理推進機構IPAが発表した「情報セキュリティ10大脅威」というものはご存じですか?

2020年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる、情報セキュリティにおける事案の中から選ばれた、10の脅威ランキング。

スマホ決済、ネットの誹謗中傷、不正アプリ。どれもこれも、スマートフォンの便利さや手軽さの陰に隠れているんです。

よく聞くけど、自分は大丈夫…なんて、ぼんやり思っていませんか?

あるいは、自分なんて狙われない…とか?

ダメですよ!

今やスマホはパソコンよりもよっぽど“手軽”な攻撃の的なんです。

手軽なスマートフォンですから、ついつい気が抜けて、気が付いたら取り返しのつかないことに…なんてことになりかねません。

便利なスマホの落とし穴は、そこら中に転がっていますよ。加害者側にとってもお手軽ですから。

では、どんな被害があるのか、いくつかピックアップして解説していきます。

どういった被害があるのかきちんと知ることがセキュリティの第一歩です。



被害例1-スマホ決済の不正利用

 

キャッシュレス化を加速させたのはスマホの普及といっても過言ではないでしょう。

レジでスマホをかざすだけ。チャージもオートチャージであったり、iPhoneであればfaceIDを解除するだけ。

昨今のコロナ禍でも、現金のやり取りなしで買い物ができてしまうすぐれものですね。

そんなすぐれものであるスマホ決済の不正利用が、2020年に続き個人脅威の第1位に選ばれました。

今年の3月、警察庁がその詳しい手口を公開したことでも話題になりましたね。

公開された犯行の手口は次の通りです。

①携帯電話販売代理店の利用申し込みに必要な個人情報を不正に利用し、口座をスマートフォンの決済サービスにひも付ける

②他人のメールアカウントを無断で利用し、犯行用のスマートフォン決済サービスのアカウントを作成

③以上のアカウント作成と口座連携を短期間で大量に行い、買い子が別の端末から短時間で連続決済を行う。

たびたび問題になる個人情報の漏洩ですが、その被害は便利になればなるほど甚大になります。

本当にそのお店、信用できますか?本当にその人、信用できますか?いつどこで漏れるかわかりません。

個人情報の取り扱いは慎重に!

 




被害例2 -クレジットカード情報やインターネットバンキングの不正利用

 

通販やスマホ決済や振込、どういった方法でお支払いしてますか?ほとんどの方がキャリア決済かクレジットカードじゃないでしょうか?

カード情報は一度登録すればその後のお買い物で省略できますし、キャリア決済も利用料と一緒に引き落とされて便利ですよね。

あるいはネットバンキングなんて方法もあります。わたしも毎月家賃はネットバンキングで振り込んでいますし、銀行やATMまで行って振り込んだ回数なんて片手で数えるくらいしかありません。便利な世の中だな~~と思います。

そう、とっても便利です。便利なものは、恰好の的なんです。

不正アクセスや後述するフィッシング詐欺、ウイルス感染などで漏洩したクレジットカード情報やネットバンキングの認証情報を不正利用される被害が多発しています。

振込や支払いがインターネットでとても手軽に簡単にできるように、情報をインターネット上から不正に拾い集めることもとても容易なことになっています。

友人は自身のクレジットカードで見知らぬ人の飛行機代を支払っていました。

ネットバンキングもクレジットカードも直接口座に結びつきます。洒落にならない額が動きます。

気が付かないうちに手遅れにならないように、細心の注意を。

利用端末は最新の状態ですか?

セキュリティソフトは入っていますか?

正規のアプリ使ってますか?

まさかとは思いますが、ネットカフェのような公共のパソコンで手続きしてないですよね?



被害例3 -フィッシングによる個人情報等の詐欺

 

みなさん、迷惑メールの区別、ちゃんとついていますか?

ついてるに決まってるだろ!馬鹿にするな!…って思いますか?

最近のフィッシングメール、フィッシングサイトもなかなか馬鹿にできませんよ。

よく知ったサイトからメールで届いたリンク。そのリンク先もよく知ったサイトそのもの。

じゃあ大丈夫か、なんて思ってIDとパスワードを入力………した瞬間に全然違う知らないサイトへ。あーー!やってしまった!

…なんてことが実際に起こるんです。絶対引っかからないと思っていても、その巧妙な罠に引っかかってしまう人がいるんです。

……………わたしも引っかかりました。絶対引っかからないと思っていたんですけどね…

フィッシング詐欺に引っかかったらすぐに対象アカウントのパスワードやIDを変更しましょう。

もしも同じパスワードやIDを使用している別のサイトのアカウントがありましたら、そちらも変更しましょうね。

※※※同じIDパスワード使っちゃだめですよ!!!!!!!!!※※※

搾取された情報は簡単に悪用され、金銭的な被害になることも考えられます。

わかりやすい迷惑メールたちに紛れる、巧妙なフィッシングメールの見極めができる大人になりましょう。



被害例4 -不正アプリによるスマートフォン利用者への被害

 

スマホとガラケーの大きな違いはアプリですよね。ゲームやSNS、クーポンや便利なツールなどなど、様々なアプリがリリースされています。みなさんはいくつのアプリをインストールしていますか?20?50?過去に消したものも含めれば、100を超える人だっているのではないでしょうか。

そんなアプリにも悪意を持ったものが存在します。

意図せず不正アプリをインストールしてしまい、そこからウイルスに感染したり不正操作や情報窃取される被害が発生しています。

あるいは、利用していたアプリの運営が情報を漏洩してしまうことも。

有名なアプリでも、過去に情報漏洩で問題になったものがあります。

そのアプリ、インストールする前に少し待って!本当に大丈夫?誘導されたアプリ、誘導されたままにインストールしてない?

宅配業者等になりすましたSMSがスマホに届き、誘導されたサイトから意図せず不正アプリをダウンロードしてしまったり、公式マーケット上に通常のアプリに紛れ込ませて不正アプリが公開されている事例が確認されています。

思い当たる節、ありませんか?スマホの画面の隅に、見知らぬアプリ、ありませんか?

アプリの管理はしっかりと!



本日のまとめ

いかがでしたか?今日あげた事例はほんの一部です。

便利な世の中の最先端を走るスマートフォンですが、詐欺や犯罪の媒体としても最先端を走っています。

自分なんて狙われるわけない…。

なんとなく大丈夫でしょ…。

今までの被害者もみんなそう思っていたに違いありません。

きちんと意識すれば防げることがたくさんあります。

あなたのスマホから窃取された電話帳から、あなたの電話帳に登録していた人にまで被害が及んだらどうしましょう。

セキュリティの甘さは、あなたを加害者にしかねません。

手元にあるその端末は、とてもお手軽な情報という名の宝の山です。

便利さに隠れた詐欺という無数の落とし穴を見逃さないように、うっかり落ちてしまわないように。

スマートフォンのセキュリティ対策をきちんとして、便利で快適なスマホライフを送りましょう!